
シリコンバレーの大淘汰

サンフランシスコのダウンタウンにある賑やかな通りに、オンラインショップ向け決済ソフトウェア企業、Fastの旧本社がある。オフィスは静かな佇まいで、窓の一つには「貸し出し中」の看板が掲げられている。経営陣の派手な習慣とは一線を画している。昨年、東海岸の拠点にフロリダ州タンパを据えたと発表したイベントでは、ジェットスキーのバク転や米国最大のモーターレース「NASCAR」のレース場直送のピックアップトラックのような豪華な演出が施された。Fastは、投資家の鼓動も高めた。クライナー・パーキンスやインデックス・ベンチャーズなど、シリコンバレーで最もシャープなベンチャーキャピタル(VC)から、2019年から2021年にかけて1億2,500万ドルを調達している。そして4月、資金を使い果たし、新たな資本に飢えたFastは、倒産した。