高齢化する日本の億万長者は自分が必要不可欠だと考えている、それが問題だ - リーディー・ガロウド
2019年1月23日(水)、東京都内で記者会見する日本電産株式会社の永守重信会長兼最高経営責任者(CEO)

高齢化する日本の億万長者は自分が必要不可欠だと考えている、それが問題だ - リーディー・ガロウド

この国で最も勤勉な企業創業者たちは、立ち去るべき時を知らない。日本の高齢化した億万長者は、自分たちが必要不可欠な存在だと考えている。それが問題だ。

ブルームバーグ

日本電産創業者の永守重信氏が、77歳という“はつらつとした年齢”で再びモーターメーカーの最高経営責任者(CEO)の座に返り咲いた。テープレコーダーの部品メーカーから、ハードディスク用モーターのトップメーカーに成長し、現在は電気自動車の部品供給も拡大している。

昨年、日産自動車から関潤を引き抜き、後継者に据えたが、昨年の高値から40%も株価が下落したため、急遽、関を降格させた。4月21日、永守は「このような時だからこそ、短期的には私が指揮を執り、業績を向上させる」と述べた。彼がいなかったら、会社はどうなってしまうのだろう。

それは褒め言葉ではない。市場の反応は慎重で、株価は金曜日の終値で下落した。永守が後継者候補を追い出すのは2度目で、以前にも日産の元幹部、吉本浩之を採用し、昇進させ、その後退任させたことがある。「今回の経営陣の交代は、日本電産の主要人物と後継者のリスクを浮き彫りにした」とムーディーズ・コーポレーションのアナリストは述べている。

77歳の日本電産創業者、株価暴落の後にCEOに返り咲く

このようなリスクに直面している日本企業は、日本電産だけではありません。実際、この考え方は日本の勤勉な億万長者にも感染しているようだ。

ソフトバンクグループの孫正義(64)は、後継者候補を食い潰し、最近では給与をめぐってマルセロ・クラウレと対立し、袂を分かった。ユニクロの創業者である柳井正は、65歳でファーストリテイリングを退職すると言っていたが、現在73歳、衰える気配はない。

株主は「どうするのか」と聞く権利がある。マンチェスター・ユナイテッドは、この9年間で5人目のフルタイム監督を任命した。

確かに、永守、孫、柳井(日本の5大富豪のうちの3人)に会社から手を引けというのは、タイミングが悪いと言わざるを得ない。ファーストリテイリングとソフトバンクの株価は、ピークであった昨年の半分程度で取引されている。孫は2月、「楽しすぎて退任できない」と述べた。投資家は彼の歓喜の感覚を共有できないかもしれない。

彼は2016年に、後継者に指名されていた元グーグル幹部のニケシュ・アローラに手綱を渡す機会があった。しかし、彼はソフトバンクを通信会社からベンチャーキャピタルファンドに変貌させるために、ここに留まることを決めた。アローラは結局、パロアルトネットワークスを引き継ぎ、同社の株価はその後180%上昇し、S&P500種株価指数を上回った。

日本では、キーパーソンリスクの完璧な例を探す必要はないだろう。日本で最も有名な元CEOのカルロス・ゴーンは、日産を改革した後、法的な問題が起こる前であっても、長期の任期を終えた。ゴーンの突然の退任以来、日産とルノーは共に苦境に立たされている。一方、ゴーンは日本では指名手配中であり、現在フランスでは、ルノーから資金を私的に流出させた疑いで逮捕状が出されている。

しかし、このように創業者自身が身を引くことに成功した例もある。キーエンスでは、日本で2番目の資産家である滝崎武光が、2000年に55歳で会長に就任した。その後、株価は1,000%以上上昇し、日本第2位の大企業になった。社長交代も順当で、現在3代目の社長がいるが、いずれも40代で、新しい生命と活力を吹き込んでいる。

77歳の永守も、その点では不足はない。3年後には社長の座を関に譲ると言っている。しかし、永守も他の引退した億万長者も、その手本を見せなければならない。キーマン・リスクは日本の風土病だ。2025年には、70歳以上の経営者がいる中小企業は約245万社に上り、その半数以上が後継者未定と言われている。今こそ、トップである富裕層からリーダーシップを発揮する時だ。今こそ、トップである金持ちからリーダーシップを発揮する時だ。立ち去るべき時を知る、ということだ。

Gearoid Reidy. Japan’s Aging Billionaires Think They Are Indispensable. That’s a Problem.: Gearoid Reidy. © 2022 Bloomberg L.P.