南アジアの債務危機は97年のアジア通貨危機の再来を懸念させる
Photo by Steve Johnson

南アジアの債務危機は97年のアジア通貨危機の再来を懸念させる

1997年当時、タイのバーツ切り下げは世界市場の崩壊を招いた。この夏、南アジアを襲った経済と政治の混乱は、四半世紀前に東側諸国を巻き込んだ「アジア通貨危機」と比較され、冷ややかな目で見られている。

ブルームバーグ

(ブルームバーグ・ビジネスウィーク) -- パキスタンは通貨が急落する中、債務不履行を回避するための救済措置に躍起になっている。バングラデシュは国際通貨基金(IMF)に先取り融資を求めている。スリランカは国債のデフォルトに陥り、政府は崩壊した。インドでは貿易赤字が膨らみ、ルピーが史上最低水準まで急落している。

この夏、南アジアを襲った経済と政治の混乱は、四半世紀前に東側諸国を巻き込んだ「アジア通貨危機」と呼ばれる混乱と比較され、冷ややかな目で見られている。

1997年7月、タイが通貨投機に対処するためにバーツ切り下げを行い、それがインドネシア、マレーシア、韓国にウイルスのように広がった。パニックに陥った金融機関は早期の返済を求め、投資家は中南米やロシアなど新興国の株式や債券から手を引き、ロシアは1998年8月に債務の一部を不履行とした。その1ヵ月後、ロシアとアジアの証券に高いレバレッジをかけていたヘッジファンド、ロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)が破綻した。

また同じことが起こるのだろうか?イスラマバードに拠点を置き、金融包摂に力を注ぐ非営利団体Karandaaz Pakistanの最高リスク責任者、アマル・ハビブ・カーンはそう考えている。南アジア諸国は過去10年間、消費と虚栄心の強いプロジェクトに資金を供給し、低コストのドル債務で大宴会を開いた」と彼は言う。「南アジアは1997年の東南アジアと同じような雰囲気がある」

この春、米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ対策として利上げを加速させたことで、断層が見え始めた。その結果、南アジアにもドミノ倒しのような現象が起こり、インフレが加速した。金融緩和は終わり、通貨は下落し、外貨準備高は減少した。

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