有名投資家コースラ、米国のAI研究の遅れを警告 中国の脅威を指摘
2022年5月11日(水)、米国カリフォルニア州メンロパークで行われたBloomberg Wealth with David Rubensteinのエピソードでインタビューに応じるKhosla Ventures LLCの共同創業者でオーナーのヴィノド・コースラ。

有名投資家コースラ、米国のAI研究の遅れを警告 中国の脅威を指摘

(ブルームバーグ) -- ベンチャーキャピタリストのヴィノド・コースラは、米国は人工知能(AI)技術の開発で中国と激しい競争を繰り広げており、速度を落とすわけにはいかないと述べた。同氏は、イーロン・マスクら指導者が提唱する研究の中断など、進歩の速度を緩やかにしようとする努力は見当違いであり、自己目的化さえしていると付け加えた。

中国は、「より多くのリスクを負い、より多くのエラーを犯すことができる」ため、テクノロジーを前進させる上で有利であると、コースラ・ベンチャーズの創設者は、水曜日にBloomberg Newsとの会合で述べた。「20年後にAI技術でリードしていることを当然と考えるべきではない」

ヴィノド・コースラ。フォトグラファー: サラ・シルビガー/ブルームバーグ

ヴィノド・コースラは、AIで優位に立つ国が世界的な影響力を大きく高めると信じている。「私たちはこのレースに勝つ必要がある」。危機に瀕しているのは、「民主主義と言論の自由、そして私たち全員が信じているものの数々」だと彼は言う。「その価値観に勝ってほしいのです」。

シリコンバレーのスピードの追求は、規制当局やAI倫理学者による節度ある行動を求める声と対立することがあった。議員たちは、強力なシステムを規制するための枠組みを作ろうと躍起になっている。そして3月、マスクは公開書簡に署名し、少なくとも6カ月間は「巨大なAI実験」の開発を一時停止するよう呼びかけた。

AIのリーダーであるOpenAIの投資家であるコースラは、マスクが手紙に署名した動機に懐疑的だった。「AI開発を遅らせるという彼の呼びかけは、自分が追いつくためだったのではないかと80%疑っている」とコースラは言う。最近X.AIという事業体を法人化したマスクは、すでにAIロボットの開発や、テスラの車により良いAI技術の開発にも取り組んでいるそうだ。

「イーロンは遅れている」とコースラは言った。「彼は、テスラの車でもロボット工学でも、AI技術が本当に重要であることに気づいている」。コースラはまた、テスラやAppleのような企業が、米国との競争が激しい時期に中国で大きなビジネスをしていることを指摘した。

「Appleも同じ問題を抱えている。中国でのビジネスが多すぎて、(AIを開発すると)中国人の機嫌を損ねてしまう」

地政学的な緊張が高まる中、多くのテックリーダーたちが中国の経済力に警戒心を強めている。先月、コースラと同じく億万長者のハイテク投資家であるピーター・ティールは、米国のテクノロジーと軍事的地位に対する同国の脅威について議論するイベントを開催した。この非公開のディナーとディスカッションでは、TikTokの最高経営責任者であるShou Chewが議会で証言する前夜に、ワシントンの政策立案者とシリコンバレーの技術者や投資家が一緒になった。

この記事は有料会員のみご覧いただけます

購読する
既にアカウントをお持ちの方 ログイン