中国は生成AIでどこまでやれるか?[英エコノミスト]
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中国は生成AIでどこまでやれるか?[英エコノミスト]

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北京とワシントンの宣伝文句を聞けば、米国と中国は技術的な覇権をめぐって全面的な競争を繰り広げているようだ。ジョー・バイデン大統領の国家安全保障顧問であるジェイク・サリバンは、昨年9月、「基本的に、今後10年間は一部の技術が非常に重要な役割を果たすと我々は考えている」と宣言した。2月には、中国の最高指導者である習近平が、「国際的な科学技術競争に対処し、高いレベルの自立と自己改善を達成する」ために、「基礎研究を強化し、重要な技術問題を解決することが緊急に必要」と述べて、この気持ちを代弁した。

人工知能(AI)ほど、今、太平洋の両岸の政策立案者を夢中にさせているテクノロジーはないように思える。ChatGPTのような「生成型」AIは、ウェブ上にある人間のテキスト、画像、音声を分析し、ますます通用するシミュラークルを作成することができるが、その能力は急速に向上しており、その強迫観念はさらに強くなっている。もし生成AIが、その支持者たちが主張するような変革をもたらすとしたら、このテクノロジーは、21世紀の地政学的競争において、それを操る者に経済的・軍事的優位性をもたらすかもしれない。欧米と中国の戦略家たちは、すでにAI軍拡競争について話している。中国はそれに勝てるのだろうか?

AIの実力を示すいくつかの指標では、独裁国家は少し前に先行している(図表1参照)。2019年には、引用数の多いAI論文のシェアで中国が米国を上回り、2021年には、世界のAI学会発表の26%が中国からであるのに対し、米国のシェアは17%である。AI論文の出版量で、世界のトップ10の機関のうち9つが中国だ。ある一般的なベンチマークによると、共産主義的な監視国家にとって特に有用なAIの一種であるコンピュータビジョンの研究を行っている上位5つの研究所がそうなっている。

しかし、生成AIの知恵となる「基盤モデル」に関しては、米国がしっかりとリードしている(図表2、3参照)。ChatGPTとその背後にある先駆的なモデル(最新版はGPT-4と呼ばれる)は、米国の新興企業OpenAIの発案によるものである。AnthropicやStability AIのような小さな会社から、Google、Meta、Microsoft(OpenAIを一部所有している)のような巨大企業まで、他の少数の米国企業が独自の強力なシステムを持っている。中国最大のハイテク企業であるアリババとテンセントは、独自の生成型AIをまだ発表していない。

このことから、中国が基盤モデルの構築で米国から2~3年遅れていると、知る人ぞ知る結論に達している。その理由は3つある。1つ目は、データに関することだ。例えば、政府はSenseTimeやMegviiといった企業に中国市民の監視情報を大量に渡すことができ、その企業は中国有数のコンピュータビジョン研究所の協力を得て、それを使って一流の顔認識システムを開発することができた。

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