AIが天気予報をより良くより安くする方法
シリコンバレーの天気予報新興企業アトモは、気象予測のための十分な資源を持たないアフリカ諸国が不確実性の高い天候に備えるために、各国政府に割安かつ奇抜なデザインのスーパーコンピューターを売り込んでいる。

2月初旬、コンピューター・プロセッサーを詰め込んだブラックボックスがカリフォルニアからウガンダへと飛行した。高さ4フィートのずんぐりしたその箱は、巨大なステレオアンプに似ていた。カンパラに到着したその箱の仕事は、それまでウガンダが使ってきたどんなものよりも優れた天気予報を行うことだった。
この装置を出荷したカリフォルニアのスタートアップ企業、アトモ AI(Atmo AI)は、今年の夏までに、この装置をもっと大きな発明品に入れ替える予定だ。それは、高さ8フィート(約15メートル)、20倍のパワーを備えた、なめらかな金属製のスーパーコンピュータだ。アトモの共同設立者で最高経営責任者(CEO)のアレクサンダー・レヴィは、「これは、世界の気象学のiPhoneになることを意味している」と言う。これは、アップルのデザインに対する信頼と市場戦略への頷きを示すだろう。多くの国々で、これまでデスクトップパソコンを持っていなかった消費者が、こぞってスマートフォンを購入した。同様に、最先端の天気予報に必要な高価なスーパーコンピューターやデータセンターを持たない国、事実上、世界の超大国でないすべての国が、代わりにこの安価なデバイスにお金を払うだろうとアトモは言っている。
しかし、最初の顧客であるウガンダ気象局(UNMA)のために、アトモはベータ版であるプレーンなブラックボックスを送る。形よりも機能を優先させたのは、目下の緊急課題としては賢明な判断といえるだろう。近年、ウガンダでは地滑り、洪水、そして聖書に出てくるようなイナゴの大発生により農園が壊滅的な打撃を受けたことがある。イナゴは散発的な干ばつと雨の後に発生し、その大群を予期していなかった関係者を驚かせた。UNMAのデビッド・エルウェル局長代理は「青天の霹靂だった」と語る。
このような被害に直面している多くの国は、気候の変化に対応するための最新のツールを備えていない。アトモは、人工知能プログラムがその解決策になるという。「対応は予測から始まる」とレヴィは言う。「もし私たちが、起こってしまった出来事に対してのみ、各国が対応することを期待するならば、私たちは人々を災害と苦しみに陥れることになる」。これは斬新なアプローチだ。気象学はAIシステムにとってかなりの難題であり、実験を行った気象当局もごく少数にとどまっている。ほとんどの国には、試すためのリソースがなかった。