百度、AI企業化で再浮上

中国の検索大手百度は一時期はテンセントとアリババに突き放されたと見られていたが、AIがあらゆる産業の重要な競争要因となったことから、AI企業として再躍進しつつある。

百度は今週、自律走行車を同等の車の製造コストの4分の1にあたる25万元(約508万円)で製造できることを示した。Apollo RT6は、2023年に中国の道路を走行する予定で、自律走行車として一から設計された。センサーはボルトで固定されるのではなく、シャーシの周りに埋め込まれている。

8つのLiDARユニットと12台のカメラにより、レベル4の自律走行が可能だ。百度は将来的に自律走行が十分に信頼できると考えており、取り外し可能なステアリングホイールを搭載した車を提供する予定だ。

百度は交通、モビリティという広い範囲へのAIの実装を目指している。技術会議「Baidu World 2022(百度世界2022)」では、彼らはAIを活用した取り組みを紹介し、全国の道路の交通量を検知し、それに応じて信号のタイミングを変えることで渋滞を解消することを彼らは約束した。また、霧などの気象現象を分析した上で交通の流れを変え、ドライバーや運ぶ荷物が遅れないようにすることにも言及している。

このようなことを可能にするソフトウェアが、バイドゥの産業用AIプラットフォーム「Kaiwu」だ。バイドゥは、制御、産業安全、省エネ、排出削減、製造などの業界にサービスを提供するために更新されたと発表した。

Kaiwuのデモ映像では、作業員が風力発電機のメンテナンス作業を行うために、防護服を着用せずに風車に入ろうとする様子が描かれている。ライトが光り、ブザーが鳴り響く中、作業員が風車の中に入っていく。そして、風力発電機の上に立つと、バイドゥのAIが解析したデータをもとに、トラブルシューティングを行うことができる。

百度は2010年以来、AI技術に多大な投資を行ってきた。自社開発しオープンソース化した産業レベルの深層学習プラットフォーム「PaddlePaddle」をベースに、百度は「知識強化」の能力を持つ「Baidu Wenxin」を生み出し、そのモデルの多くは世界トップの水準に達している。

百度のプレゼンテーションは消費者向け技術にも触れ、DuXiaoxiaoというデジタルパーソナルアシスタントが百度のアプリの人間のユーザーとなめらかにチャットできるようになったことを明らかにした。DuXiaoxiaoはまた、ポップソングを歌い、他のアバターとデュエットすることもできる。

クラウド部門のAI提供も成長

Canalysが6月8日に発表したレポートによると、中国のクラウド市場では、Baidu AI Cloud、Alibaba Cloud、Huawei Cloud、Tencent Cloudが上位4位にランクインしている。Baidu AI Cloudは、2022年第1四半期の市場シェアが8.4%、前年同期比成長率が43%で、クラウド市場全体の成長率21%の2倍以上となり、好調に推移している。

Baidu AI CloudはすでにAIコンピューティングを顧客に提供している。例えば、エネルギー分野では、風力発電メーカーの龍源電力が、監視センターが数千キロ離れた北京にありながら、Baidu AI CloudのAI技術を使って広東省の風力発電所を監視している。以前は、作業員が100メートル以上登って点検する必要があったが、現在はドローンに作業を委ね、インテリジェントな点検を行うことで、最大10倍の効率化が可能になった。風力発電のほか、火力発電、暖房、工業団地の電気などの分野でもBaidu AI Cloudは採用されている。

水管理の分野では、Baidu AI Cloudが運用をより「インテリジェント」にした。そのAIモデルを通じて、水の消費量を細かく予測し、漏水率を2%削減するという。中国の市や県の給水量に応じて計算すると、杭州の西湖98個分の貯水量を節約することに相当する。

Baidu AI Cloudは、製造業のデジタル化・インテリジェント化もサポートする。衡平石油化学と協力し、化学繊維製品の品質検査時間を2.5秒に短縮している。AI技術により、勤勉な繊維女性労働者をデータアノテーターに変える。

出典:百度