労働者を置き換えるだけのAI戦略の限界
Chris Sunde; original uploader was Christopher Sunde at en.wikipedia., Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で

労働者を置き換えるだけのAI戦略の限界

著名経済学者は、「AIで労働者を置き換える」という単純な戦略からの脱却を訴えている。富の移転ではなく社会全体の生産性向上のために「機械」をどう使うか。世界は古くて新しい問いに答えないといけなくなった。

著名経済学者は、「AIで労働者を置き換える」という単純な戦略からの脱却を訴えている。富の移転ではなく社会全体の生産性向上のために「機械」をどう使うか。世界は古くて新しい問いに答えないといけなくなった。


米マサチューセッツ工科大学(MIT)教授のDaron Acemoglu(経済学)とMITスローン・スクール・オブ・マネジメント教授(Entrepreneurship)のSimon Johnsonによる著書『Power and Progress』は、技術進歩が誰に利益をもたらすのかという永遠の問いについて考察している。特に、現在注目を集めている自動化とAIの影響について詳しく調査している。

彼らは2つのシナリオを指摘した。Acemogluらが支持するのは社会全体のウェルビーイングを前進させる2番目のシナリオである。

  1. 人間の仕事を自動化するためだけに設計された技術はしばしば、社会一般ではなく、一部のエリートに利益をもたらす場合
  2. 逆に、彼らは人間の労働力を増強し、新しい仕事を作り出し、生産性を高めることで社会のウェルビーイングを向上できる場合

Acemogluは、2つの相違するシナリオの例として、スーパーのセルフレジの登場を、フォードの機械化に対する革命的なアプローチと比較。セルフレジは便利かもしれないが、生産性を向上させることはできない。逆に、フォードはより良い機械を導入し、作業プロセスを根本的に変革することで、生産性の大幅な向上を実現した。

Acemogluは、以下のような論点を俎上に載せている。

この記事は有料会員のみご覧いただけます

購読する
既にアカウントをお持ちの方 ログイン