百度とセンスタイム、中国のAI認可を獲得した最初のグループに［ブルームバーグ］
中国は生成人工知能（AI）サービスの第1弾の一般展開を承認し、百度（バイドゥ）やセンスタイムを含む国産技術の覇者がOpenAI Inc.やMicrosoft Corp.などと公然と競争できるようになった。
(ブルームバーグ) -- 中国は生成人工知能（AI）サービスの第1弾の一般展開を承認し、百度（バイドゥ）やセンスタイムを含む国産技術の覇者がOpenAI Inc.やMicrosoft Corp.などと公然と競争できるようになった。
中国国家インターネット情報弁公室（CAC）は、駆け出しの企業や大手テクノロジー企業を含む一握りの企業に認可を与えたと、この問題に詳しい関係者は語った。ある関係者によると、検索大手のバイドゥは、北京のインターネット監視当局から認可を得た最初の企業のひとつだという。香港上場のセンスタイムも規制当局の承認を得た。
バイドゥの株価はニューヨークで5.5％上昇した。バイドゥはWeChatの公式アカウントへの投稿で、ChatGPTのライバルであるErnie Botが8月31日に一般公開されると述べた。同社はまた、ユーザーが生成AIを体験できるよう、新しいアプリケーションをリリースする予定だ。
ジェフリーズのアナリスト、トーマス・チョンは、「これはストリートにとってポジティブなサプライズであり、ERNIE Botにとって重要なマイルストーンだ」という。「ユーザーからのフィードバックでさらにアップグレードすることができ、競争力を強化する」
政府がAIを管理する抜本的な新規制を導入してからわずか数週間後の今回の承認により、ChatGPTスタイルのサービスが初めて10億人以上のインターネットユーザーに提供されることになる。
この動きは、OpenAIのChatGPTがデビューして以来、MicrosoftやAlphabetのGoogleに対抗できるサービスの開発に何十億ドルもの資金を投じてきた中国のAI産業とそのリーダー候補にとって、画期的な出来事だ。
北京では、AIはビジネス的にも政治的にも必要不可欠な技術であり、その変革の本質を理解している。バイドゥは3月にErnie Botを発表して脚光を浴びたが、アリババとテンセントもそれ以来、新興企業のパレードに加わり、独自の基盤モデルをアピールしている。
百度とセンスタイム以外のどの企業が最初に政府の承認を得たのかは、すぐにはわからない。CACはファックスでコメントを求めたが、返答はなかった。
北京はAIを12あるハイテク産業の優先課題のひとつに指定し、2年にわたる規制当局の取り締まりの後、政府は低迷する経済を支えるために民間セクターの協力を求めている。中国もヨーロッパと同様、過去30年間で最も有望で、かつ物議を醸しそうな技術であるAIの規制監督を迅速に進めた。一方アメリカは、業界のリーダーたちがAIは「絶滅のリスク」をもたらすと警告した後も、真剣に検討されている法案はない。
8月15日に施行された中国の規則では、生成AIサービスが国内ユーザーに利用可能になる前に認可を得ることが義務付けられており、プレイヤーの繁栄と米国のライバル企業との競争を可能にする一方で、コンテンツを管理することを意図したガードレールの一部となっている。
世論に影響を与える可能性のあるコンテンツを持つサービスは、セキュリティ審査に合格し、アルゴリズムを記録保存するために提出する必要がある、と規則は述べている。しかし、このようなガイドラインは、4月に初めて発表された規制の水増しされた最終版の一部であり、北京がこの業界を支持していることを示すものだった。
百度の億万長者である共同創業者のロビン・リー氏は、8月の決算後の電話会見で、同社は規制当局と緊密に協力し、生成AIの適切な利用を推進していると述べた。
中国製の生成AIサービスが、テンセントのユビキタスアプリ「WeChat」のような必携アプリのレベルにまで上り詰める可能性があるかどうかを判断するには、まだ時期尚早だ。また、アメリカの制裁により、中国のハイテク企業はAIモデルを訓練するための最高のチップを奪われており、Ernieのようなサービスと欧米の同等サービスとの格差が広がる可能性がある。
6月、百度はいくつかの指標でアーニーがChatGPTを上回ったと主張した。しかしテンセントは今月、開発中の独自のモデルはすでに中国最高のもののひとつだと述べ、アリババはChatGPTのようなAIを自社の会議やメッセージングアプリに統合しようとしている。これらの企業はいずれも、AIをクラウドコンピューティング・プラットフォームの不可欠な一部にしようとしている。
-- 取材協力：Lynn Doan、Seth Fiegerman
Baidu, SenseTime Among First Firms to Win China AI Approval
By Zheping Huang, Jane Zhang and Sarah Zheng
© 2023 Bloomberg L.P.
翻訳：吉田拓史、株式会社アクシオンテクノロジーズ
