テック投資家、AIが医療を変革することに賭ける［ブルームバーグ］

(ブルームバーグ) -- トップベンチャー企業は、人工知能の急速な進歩とChatGPTへの世間の関心が、シリコンバレーが長年この業界で針路を変えるのに苦労してきた後、ハイテク新興企業が医療を変革するのに役立つことに賭けている。

アンドリーセン・ホロウィッツは、AIブームに乗じて医療を改善しようとする新興企業に次々と投資している。その中には、患者ケアを支援し、臨床記録作成の負担を軽減するAIツールを構築する企業や、従来の方法よりも迅速に新薬を発見しようとAIを活用する企業も含まれている。同社は先週、AIを活用した創薬企業ジェネシス・セラピューティクス（Genesis Therapeutics）に2億ドルのラウンドを共同リードした。ジェネラル・カタリスト、メンロ・ベンチャーズ、ラックス・キャピタルなどもAIヘルスケア新興企業に投資している。

このような投資は、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、アルファベットのグーグルなど、収益性の高いヘルスケア業界に積極的に進出している大手ハイテク企業の熱意を反映している。アマゾンは7月、医療提供者が医師の診察を要約するのに役立つ生成AIツール「HealthScribe」を発表した。グーグルも病院で医療チャットボットをテストしていると言われている。

しかし、医療は規制が厳しく、いまだにファックスに大きく依存しているため、テック企業が参入するのは難しい。インターナショナル・ビジネス・マシーンズ（IBM）は昨年、ワトソン・ヘルスの一部資産を売却したが、これはAIを活用して医療従事者のデータ分析を支援し、がん治療に革命を起こすという目標にとっては後退となった。一方アマゾンは、JPモルガン・チェース・アンド・カンパニーとバークシャー・ハサウェイとともにこの業界を破壊するという注目を集めた試みを断念した。さらに、ChatGPTのような生成AIツールを支える大規模な言語モデルは、細部を間違えることで知られており、医療のような複雑で利害関係の大きい状況を扱う場合には特に問題となる可能性がある。

アンドリーセン・ホロウィッツのジェネラル・パートナーであるヴィージェイ・パンデは、先月のブログ投稿で「AIのハイプ・サイクルは以前にもヘルスケアに打撃を与えた」と述べている。しかし、同社で10年近くにわたりAIがヘルスケアに与える潜在的影響について太鼓判を押してきたパンデ氏は、技術が大幅に向上した現在では違うと述べている。彼はまた、インターネットの進化のように、真の変化には時間がかかると指摘する。

「インターネットが本当にすべてを変えるには20年かかりました」とパンデはブルームバーグに語った。彼は、医療におけるAIの現状を、2005年のインターネットの状況になぞらえている。インターネットは日常生活に浸透し始めていたが、「私たちは生活のすべてを今日のようにインターネット上で行っていたわけではなかった」。

AIスタートアップへの投資全体は今年爆発的に増加したが、AIヘルスケア・スタートアップの状況はより複雑だ。調査会社PitchBookのデータによると、このカテゴリーは現在、昨年の資金調達額74億ドルに遅れをとっており、2021年の資金調達額105億ドルを大きく下回っている。

ラックス・キャピタルのゼネラル・パートナーであるディーナ・シャキールは、「AIは、特にヘルスケア業界において、誰もが舌を巻くバズワードであることは確かだ」と述べた。それでも彼女は、「本当のインパクトを知るには時期尚早であることは、コンセンサスが得られているようだ」と述べた。

以下は、ハイテク投資家が最も勢いを期待しているヘルスケア分野である。