AIが中国経済に年間6,000億ドルをもたらすとマッキンゼーが予測

マッキンゼー・アンド・カンパニーは、AI技術を完全に商業化する取り組みは、中国本土で今後10年間で次々と結実し、国内総生産(GDP)の3.7%、つまり6,000億ドルに相当する価値を提供すると予想している。

先月発表した報告書によると、顔認識や機械学習などのAI対応製品は、金融、消費者、製造、テクノロジー企業がプロセス、製品、サービスに融合させることで、経済生産量を押し上げ、コストを削減する、としている。

自動車産業にはAI実装の大きな機会があるとマッキンゼーは見込んでいる。世界最大の本土の自動車市場が、新しい技術が自律走行車、車両のパーソナライゼーション、車両資産管理を採用するようになれば、AI分野に毎年3,800億米ドルの経済価値をもたらすと予測している。

コンピュータビジョン技術は、自動車やドライバーのデータ解析やモニタリングに有用で、インテリジェントコックピットや自律走行、スマートシティへの応用が期待できる。

協調型ロボットなどのAIアプリケーションを用いたプロセス設計の革新は、中国の製造業における価値創造にさらに1,000億ドルの価値をもたらすことができるとマッキンゼーは述べている。

AI技術と中国のライフサイエンス産業の融合は、医学研究や患者の医療データの構造化を支援することで、創薬や臨床試験を加速させる可能性がある。

昨年、中国のAI新興企業はプライベートエクイティやベンチャーキャピタルから170億ドルの資金を獲得し、世界全体の5分の1近くを占めたという。

「AIの可能性を最大限に引き出すには、一般的に多額の投資が必要であり、場合によっては、リーダーが予想するよりもはるかに多額の投資が必要になる」と報告書の著者は述べている。

調査会社IDCのデータによると、中国のAIソフトウェア市場は2021年に前年比43.1%増の53億米ドルに急拡大した。2021年から2026年にかけて、市場の年率換算成長率は34%を超えて推移する見込みだという。

スタンフォード大学のAIインデックスは、世界のAIの進歩を研究、開発、経済の面から評価したもので、中国は世界のAI活況の上位3カ国にランクインしている。