Alexa部門、通年100億ドル損失想定でレイオフのターゲットに

Amazonの音声認識技術「Alexa」を含むハードウェア部門が今年だけで100億ドルの損失を計上しかねないペースにあると報じられた。進行中とされる同社史上最大のレイオフでの主要なターゲットになっているようだ。


米ビジネスメディア、ビジネス・インサイダー(BI)が入手した内部資料によると、今年の第1四半期、スマートスピーカー「Echo」や音声認識技術「Alexa」からストリーミングサービス「Prime Video」までを含むアマゾンの「Worldwide Digital」部門は、30億ドル以上の営業損失を出している。

BIは同社のハードウェアチームの現・元従業員10数人に取材したところによると、損失の「大部分」はAlexaに関連。これは他の部門の損失の2倍にあたるらしく、ハードウェアチームは今年100億ドルの損失を出すペースという。

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が確認した内部文書によると、Alexaを含むハードウェア部門は、近年、年間50億ドル以上の営業損失を出していたこともあるようだ。

WSJによると、ジェフ・ベゾスはアマゾンCEOとしての晩年、アマゾンの最も野心的なプロジェクトに多くの時間を割いており、アレクサは彼のペットプロジェクトの1つだった。彼はAlexaが不採算であるにもかかわらず、資金を提供し続けたと、この件に詳しい人々は述べているようだ。

AmazonのAlexaとデバイスチーム全体が、同社史上最大の1万人レイオフの主要なターゲットになっているそうだ。

AlexaのAmazon Echoは「Amazonで最も売れている商品」のひとつだが、ほとんどのデバイスは原価で販売されているという。Amazonはハードウェアではなく、Alexaを通じた商取引で稼ぐビジネスモデルを想定した。

しかし、実際にはAlexaとユーザーのインタラクションは商取引に繋がりづらいものだった。Alexaの実験の4年目には、「Alexaは週に10億のインタラクションを得ていたが、それらの会話のほとんどは、音楽を再生したり、天気について尋ねたりする些細なコマンドだった」という。

また、AmazonはAlexaのスキルで企業と提携しようとし、音声コマンドでドミノピザを買ったり、Uberを呼んだりすることができ、Amazonはキックバックを得ることができる。しかし、2020年までに、チームはこれらのスキルの利用が進まないため、売上目標を計上しなくなったとBIは書いている。また、チームはAlexaを、音声で買い物をしていなくてもAmazonで消費する可能性が高い仮説を立てたが、社内リサーチによれば、それらのユーザーの「金銭的貢献」はしばしば期待を下回ることが判明したという。

この部門からは重要幹部の離職も来ている。8月には、Amazonのハードウェア研究開発グループ、通称Lab126のプレジデント、グレッグ・ゼアが18年の勤務の末に退職。Alexa担当の上級バイスプレジデントであるトム・テイラーも同日に退職を発表し、22年間のAmazonでのキャリアに終止符を打った。

Consumer Intelligence Research Partnersの調査によると、第1世代のEchoデバイスは、最初の2年間で500万台以上売れ、驚きのヒット商品となった。アマゾンはAlexaやその関連デバイスの販売台数を公表していない。

現在、米国の音声アシスタント戦争でAlexaは3位につけており、Google Assistantのユーザー数は8150万人、AppleのSiriは7760万人、そしてAlexaは7160万人だという。