アマゾンの物流センターでは機械が主役になっている
2021年8月4日、BFI4ビルでフルフィルメントのプロセスを説明するエバン・ショーブ。カメラマン:Chona Kasinger/Bloomberg

アマゾンの物流センターでは機械が主役になっている

【ブルームバーグ】アマゾンの最新の物流センターでは機械が重要な役割を果たしている。アマゾンがアルゴリズムとロボットを使って1日に100万個以上の荷物を出荷し、その過程で人間の仕事を大きく変えている。

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【ブルームバーグ・ビジネスウィーク】ある日の朝、シアトル郊外にあるアマゾンの物流センターで、エバン・ショーブは9台のコンピュータースクリーンの前に身を置いた。社内では「クォーターバックデスク」(QB)と呼ばれるこのコマンドセンターで、ショーブはアメフト場15個分の広さの建物の複雑な仕組みを監視している。何千もの青い点は、施設内で製品を運搬するロボットを示している。トイレのサインのような黄色い数字は、ロボットの積み下ろしを行う人間を表している。迷路のような緑のラインは、注文された商品を下のステーションへ、そして最終的には待機している配送トラックへと高速で運ぶコンベアを示している。このシステムは、8月初旬の朝、全米900カ所以上のアマゾンの物流施設で週7日の間スムーズに稼動している。

ワシントン州ケント市郊外にあるBFI4は、アマゾンを代表するフルフィルメントセンターで、買い物客が「今すぐ購入」をクリックした後に何が起こるのかを理解したいという企業幹部を定期的に受け入れている(先日、最高経営責任者のアンディ・ジャシーが立ち寄った)。

同センターは、1日に100万点以上の商品を処理できる初めての施設であり、10年前に同社が所有していた最先端の倉庫の3倍の処理能力を持っていた。テクノロジーの向上により、アマゾンは、実店舗を持つライバル企業であるウォルマートやターゲットの数歩先を行くことができる。

アマゾンの施設の主役は、物理的なロボットよりも、アルゴリズム(特定の問題を解決するために設計された一連のコンピュータ命令)である。ソフトウェアは、施設が扱うことのできる商品の数、各商品がどこに置かれるべきか、休日のラッシュ時の夜勤には何人の人員が必要か、スティック状の消臭剤を時間通りにお客様にお届けするにはどのトラックが最適か、などを決定する。BFI4のジェネラルマネージャーであるエバン・ショーブは、「正しい判断をするために、ソフトウェアを頼りにしている」と語る。

自動化によって、物流センターのスーパーバイザーが1人で数十人の従業員を管理することが可能になり、工場のようなオペレーションが業界の標準になりつつある。米国労働統計局によると、2012年、物流倉庫の管理者は約10人の従業員を管理していた。アマゾンが業界最大の雇用主となった後の2020年には、監督者1人に対して現場作業者が約2倍になっていた。

競合他社はアマゾンのオペレーションを真似ようと努力しているが、その自動化へのアプローチは、時給制従業員の労働条件を嘆く批判者の注目の的でもある。アマゾンのアルゴリズムは、倉庫内で何をすべきかを従業員に指示し、生産性の目標を設定し、それを達成できない従業員にはフラグを立てる。インタビューでは、従業員たちは巨大な機械の歯車のように感じており、自動解雇のメールが送られてくるだけで追い出されてしまうと語っている。

アマゾンは、自社のアルゴリズムが完璧ではないことを認めている。アマゾンは、アルゴリズムが完璧ではないことを認めているが、施設内のほとんどのプロセスでは人間による監視や介入が可能だとしている。管理者たちは、強力なソフトウェアのおかげでより多くのことを達成できると言い、同社はオペレーションの改善を続けている。

アマゾンのエンジニアリング部門の元幹部で昨年退社したマジュ・クルヴィラによると、アマゾンは数年前に上司が施設内を拘束で歩き回っている「ラップトップを絶えず見つめている人」にすぎなくなったと気づいたという。「物流センターの管理者は従業員と関わりを持っていなかった」と、人間同士の交流を促進するために設計された自動化ツールに取り組んでいたクルヴィラは言う。「もし関わり合いが起こらなければ、アマゾンにとって下降スパイラルに陥る可能性がある。人を大切にしていないときこそ、労働組合の出番なのだ」。

ジェフ・ベゾスは、一介の書店員だった頃から、人間をソフトウェアに置き換えようとしてきた。有名なエピソードとしては、書評や推薦文を書く編集者の代わりに、買い物のパターンを抽出して同じ仕事をするコードを導入したことが挙げられる。同様のプログラムは、在庫の発注や配置、オンライン市場の監視など、アマゾンの業務の多くの側面を管理するようになり、アルゴリズムが人間の従業員よりも優れた、あるいは安定した作業を行うことができるという長期的な賭けに出た。

1980年代半ば、アマゾンは自動化に重点を置き、梱包・出荷・配送部門の大規模な拡張を行った。小さな改善でも賞賛され、アマゾンの物流部門のベテラン社員の履歴書には、商品の配送コストを1~2円下げたという記述が散見される。

2012年、アマゾンはマサチューセッツ州ノースリーディングにある小型自動化ロボットのメーカー、キバ・システムズを買収した。それまでは、作業員が倉庫内の通路を歩き、高い棚から商品を取り出し、時にはプリントアウトした用紙を使って商品を探していた。アマゾンは、Kivaユニットを使って、商品の入った棚を待機している従業員のところに持ってきたいと考えていたが、これは物流センターを全面的に再設計しなければならない計画だった。

2016年にオープンしたBFI4は、小さなロボットのために専用に作られた最初の施設の一つだ。3,500人の従業員と110人の正社員マネージャーが、アマゾンの精密な生産性追跡システムに監視されながら、巨大な組立ラインのように働いている。在庫を積んだトラックの荷台に移動式のコンベアベルトを回し、パレットや箱ごとに商品を送り込む。このシステムは、入ってきた商品を自動的にスキャンし、アマゾン.での販売用にリストアップし、サプライヤーへの支払いを開始させる。そこからは、ロボットとの間に設置されたチェーンリンクフェンスに沿って、商品を棚に収納していく。棚はロボット専用ゾーンにしっかりと収められ、注文が入るとKivaがラックをピッキングステーションに移動させ、作業員が適切な商品を取り出してビンに入れ、梱包・出荷のためのラインに送り出す。

お客さまからの注文に対応するために、各ステーションに何人の人員が必要なのかを把握するために、マネージャーはかつてエクセルと勘を使っていた。しかし、2014年頃から、全米の倉庫で働く表計算担当者をシアトルに呼び寄せ、ソフトウェアエンジニアと一緒に会議室に入れ、彼らの作業を抽出して自動化した。その結果生まれたAutoFlowプログラムは、最初は不便で、あるステーションには従業員の「半分」を、別のステーションには従業員のもう「半分」を配置するような推奨を吐き出していたと、ソフトウェアの初期開発を監督した元アマゾンの物流担当役員、デビッド・グリックは振り返る。やがてシステムは、人間は「半分」に分けられないことを学習した。

2019年の春、アマゾンの幹部はBFI4を動かす人間に、15分ごとに更新されるAutoFlowのレコメンデーションに頼るよう指示した。管理職は、何か問題が起きた場合にシステムを上書きすることができたが、ほとんどの場合、手をこまねいているように言われた。当時、倉庫の出荷部門を担当していたショーブは、「初期のメッセージは、列車を壁に衝突させて、そこから学ばせることだった」と言う。当時、倉庫の出荷部門を担当していたショーブは、「私のチームは、ソフトウェアよりも優れた操作性を持っていた。ソフトよりも私のチームの方がうまくいく。これは本当に飲み込めないことだった」。

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