電池最大手CATL、ゲームを変える2つの新電池を開発中

電池最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)は「リチウムイオン電池の次」に当たる2つの電池の開発を明らかにした。公表された性能が実現されるなら、ゲームは大きく変わる。


4月19日、CATLは上海国際自動車工業展覧会(上海モーターショー2023)で、エネルギー密度が最大500Wh/kgと非常に高い「凝聚態電池(Condensed Battery)」を発表した。

この凝聚態電池は、「超高エネルギー密度の正極材料、革新的な負極材料、セパレータ、製造プロセスなど、さまざまな革新的技術を統合し、優れた充放電性能と優れた安全性能を提供する」とCATLは説明した。

しかし、新型セルのコストや製造に必要な材料などの情報は明らかにされていない。また、プレゼンテーションには充電効率、充放電率、安全範囲、ライフサイクルなど、その他の仕様もいくつか欠けていた。

CATLは、この電池を実際に航空機で使用するために、パートナーと協力して試験・開発を進めているという。また、年内には自動車用の量産型も発売する予定だ。

航空機での電池利用可能性に言及するCATLのチーフサイエンティストであるWu Kai。出典:CATL

ナトリウムイオン電池

4月16日、CATLは、中国自動車大手の奇瑞汽車(Chery)の車両に同社のナトリウムイオン電池(NIB)を搭載することを発表した。

CATLが2021年7月に第1世代のナトリウムイオン電池を発表した際の性能は、バッテリーセルのエネルギー密度は160Wh/kg、常温ならば15分間で80%以上充電でき、摂氏マイナス20度の環境でも定格容量の90%が利用可能。乗用車に搭載した場合、航続距離は最大400キロメートルに達するとされた。

NIBはエネルギー密度が低かったため、定置用のみでの利用が有力視されていた。だが、CATLやその他の中国の電池企業が主張する性能は、車載に十分相当するものだ。

CATLの研究センター副所長のQisen Huangは昨年11月、NIB関連のフォーラムで、NIBが航続距離400キロメートルのニーズを満たすことができると発言していた。

絶好調の業績

CATLは業績も絶好調だ。先週公表した1−3月期の決算では、売上高は890億元(約1兆7,300億円)に達した。純利益は98億元と、デリバティブ(金融派生商品)の一時的な経費を計上した前年同期の15億元から急増。原材料コスト下落も増益に寄与した。