中国経済の回復減速は新常態の始まりか?:Daniel Moss[ブルームバーグ・オピニオン]
この10年余り、「自分の仕事上の最大の関心事は中国の台頭である」という言葉を何度聞いたかわからない。中国の減速、他の主要国にとって未知の問題もまた、同じように説得力のある物語になるかもしれない。
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(ブルームバーグ・オピニオン) -- まだ比較的初期段階にある中国の景気回復が、みんなの笑いものになりつつある。力強い復活への期待が裏切られたことで、不愉快な評価が相次ぎ、中国の通貨は圧力にさらされている。しかし、「ゼロ・コロナ」からの回復が少しでもあれば、それに越したことはなく、今年の成長率が北京の控えめな目標に達したとしても、世界経済を活性化させることができる。
このことは、エコノミストによる悲観的なコメントに埋もれてしまう危険性がある。中国は、過去30年間の驚異的な成功の犠牲者かもしれない。先週発表された一連の評価は悲観的なもので、過去数十年の日本の誤った夜明けに伴う幻滅を彷彿とさせるものもあった。
野村證券は「急速に活力を失っている」とし、成長率見通しを数週間後に下方修正した。バークレイズは、消費の回復が「引き続き勢いを失っている」と懸念し、予測を引き下げた。HSBCも同様の表現をしている。オックスフォード・エコノミクスは、経済が「大きな壁にぶつかっている」と指摘した。シティグループは「自信の罠」に警鐘を鳴らした。このような否定的な見方をするきっかけとなったのは、鉱工業生産と小売売上高が芳しくない数字であり、それに続いてインフレ率も低調な数字となったことだ。しかし、これらの厳しい批判は、より深い根本的な問題を指し示している。