中国、海外上場の「抜け穴」を正式に禁止へ

中国はテクノロジー新興企業における外国人株主の役割を制限するために、同国の新興企業が海外で上場する際に利用する主要な経路である変動持分事業体(VIE)を厳しく制限するブラックリストを準備している、とフィナンシャルタイムズが事情に詳しい関係者4人の談話を基に報じた

VIEではケイマン諸島のようなカリブ海のタックスヘイブンに持株会社が作られ、香港経由でつながった本土の事業体との契約により支配関係を構築する。持株会社の預託証券が米株式市場に上場され取引されている。国内の外資規制を回避し、国際的な投資家から数十億ドルを調達するため、アリババ、ネットイースのような米上場の中国企業はもれなくこの仕組みを採用しており、中国政府は長い間黙認してきた経緯がある。

FTが引用した関係者によると、ブラックリストの対象となるのは、いわゆるVIEを使って中国事業を運営している「センシティブな分野」の新興企業だ。既存の企業には適用されないとのことだ。

このリストは、国家計画、商務、証券、中央銀行などの中国当局が策定しているもので、先週、ライドヘイリンググループのDidi Global(滴滴出行)がニューヨーク証券取引所からの上場廃止を発表したことに端を発する、過去1年間のハイテク部門の取り締まりを受けたものだ。

VIEのネガティブリストの範囲はまだ明らかになっていないが、この問題に詳しい関係者によると、VIEの新しいネガティブリストには、データ集約型のセクターや国家安全保障に関わるセクターが含まれる可能性があるという。米国は、シリコンバレーの新興企業に対する中国の投資を制限するため、同様の措置を講じている。

今回のネガティブリストは、VIE構造を利用している既存の企業に影響を与えるものではないと、金融規制当局に近い2人の人物はFTに対して語っている。むしろ、国の経済にとって重要な将来のナショナル・チャンピオンが外国人株主に支配されないようにすることを目的としているという。

「将来的には、外国人投資家はテクノロジー産業ではなく、伝統的な産業に資金を投入することができる」と、その人物は語り、そのような産業は外国資本を導入するためにVIE構造を利用する必要はないと付け加えたという。