中国製EVは欧州ではルノーの割安モデルより安くない[ブルームバーグ]
2020年10月16日(金)、フランス・パリで開催されたルノーSAのイベント「E-Ways」で、ルノーSAが製造するクロスオーバー電気自動車「ダチア・スプリング」のロゴが展示された車両。写真家 Benjamin Girette/Bloomberg

中国製EVは欧州ではルノーの割安モデルより安くない[ブルームバーグ]

欧州に流入する安価な中国製EVに関する欧州委員会の調査には、皮肉な展開が待っていた。欧州の自動車メーカーほど、中国の低コストEV生産基盤を活用してきた企業はない、ということだ。

(ブルームバーグ) – 欧州に流入する安価な中国製EVに関する欧州委員会の調査には、皮肉な展開が待っていた。欧州の自動車メーカーほど、中国の低コストEV生産基盤を活用してきた企業はない、ということだ。

ルノーSAは数年前から、電気SUV「ダチア・スプリング」をヨーロッパで最も手頃なEVとして販売している。中国の湖北省で製造されたこの車種は、フランスでは20,800ユーロ(22,300ドル)から、国の補助金を利用すれば15,800ユーロから購入できる。

これと比較すると、中国のトップセラーEVメーカーであるBYDが1年前にヨーロッパで販売を開始するEVシリーズの販売前価格を発表した際、同社が提供した最も手頃なモデルは38,000ユーロのスポーツ多目的車「Atto 3」だった。

BYDだけでなく、中国系ブランドからもEVが発売されている。MG、ポールスター、ニオなどの中国系ブランドのモデルは、欧州の主要市場では本国よりもはるかに高い価格で販売されている。これは、欧州委員会のウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長が水曜日に議会で発表した調査結果に拍手喝采を贈った人々にとっては、災いのもととなる可能性がある。

フォン・デル・ライエン委員長は水曜、「世界市場には安価な中国製EVが溢れ、その価格は巨額の国家補助金によって人為的に低く抑えられている」と言った。「これは我々の市場を歪めている。我々の市場の内部からの歪みを受け入れないように、外部からの歪みも受け入れない」。

以下は、自動車メーカーが中国からヨーロッパに輸入するEVの価格と、そのEVが製造される場所での価格との間に大きな差がある例である:

BYDのドルフィン 写真家 高橋健太郎/ブルームバーグ

BYD ドルフィン

  • フランス:28,990ユーロ
  • 中国:116,800元(15,200ユーロ)
オーストラリアの港に到着したMG ZS 写真家 Brent Lewin/Bloomberg

MG ZS

  • ドイツ国内:31,310ユーロ
  • 中国:11万9800元(1万5600ユーロ)
Zeekr X カメラマン Qilai Shen/Bloomberg

Zeekr X

  • ドイツ国内:44,990ユーロ
  • 中国:18万9800元(2万4700ユーロ)
ポールスター2、シドニーのショールームにて カメラマン Brent Lewin/Bloomberg

ポールスター2

  • ドイツ国内:4万8990ユーロ
  • 中国:29万9800元(3万8900ユーロ)
BMW iX3 写真家 Krisztian Bocsi/Bloomberg

BMW iX3

  • ドイツ国内:67,300ユーロ
  • 中国:40万5,000元(5万1,800ユーロ)
NIO ET7 カメラマン Qilai Shen/Bloomberg

NIO ET7

  • ドイツ:69,900ユーロ(バッテリーなし)、81,900ユーロ(バッテリーあり
  • 中国:42万8000元(5万5600ユーロ)

-- 取材協力:Albertina Torsoli、Joshua Gallu

No Chinese EV Is Cheaper in Europe Than a Cut-Rate Renault Model

By Craig Trudell, Linda Lew and Stefan Nicola

© 2023 Bloomberg L.P.

翻訳:吉田拓史、株式会社アクシオンテクノロジーズ

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