Google、クラウドプラットフォームにMetaとAnthropicのAIモデルを追加
2023年5月10日(水)、米カリフォルニア州マウンテンビューで開催されたGoogle I/O開発者会議にて、アルファベット社の最高経営責任者(CEO)、スンダル・ピチャイ。

Google、クラウドプラットフォームにMetaとAnthropicのAIモデルを追加

Alphabet Inc.のGoogleは、Meta Platforms IncやAnthropicなどの人工知能(AI)ツールを自社のクラウドプラットフォームに追加する。

(ブルームバーグ) -- Alphabet Inc.のGoogleは、Meta Platforms IncやAnthropicなどの人工知能(AI)ツールを自社のクラウドプラットフォームに追加する。

Googleのクラウドクライアントは、Metaの大規模言語モデル「Llama 2」やAIスタートアップのAnthropicのチャットボット「Claude 2」にアクセスし、自社のアプリやサービスのために企業データを使ってカスタマイズできるようになる。火曜日にサンフランシスコで開催されたGoogleのイベント「Next '23」で発表されたこの動きは、同社のプラットフォームを、自社製であれパートナー企業製であれ、顧客がニーズに最も適したAIモデルを自由に選択できるものと位置づける取り組みの一環である。同社によると、100以上の強力なAIモデルとツールがGoogle Cloudクライアントで利用できるようになったという。

同社はまた、生産性向上スイート「Workspace」の顧客向けに、AI製品「Duet」を広く提供することも発表した。ユーザーは、Google Docs、Sheets、Slidesのようなアプリ上でコンテンツ作成を支援するプロンプトに応答する生成的なAIヘルパーを利用することができる。5月に導入されたDuet AIは、ビデオ通話中にメモを取ったり、会議の要約を送信したり、18言語のキャプションを翻訳したりすることができるとGoogleは述べている。また、「attend for me」と呼ばれる新機能により、ユーザーはこのツールを自分の代わりに会議に参加させたり、メッセージを伝えたり、イベントの要約を作成したりすることができる。

Googleはまた、GEアプライアンスやFOXスポーツといった企業とも新たなパートナーシップを結んだと発表した。これにより、顧客はAIを活用して、例えばカスタムレシピを作ったり、FOXスポーツの放送カタログからスポーツイベントのプレイバックを見たりできるようになる。

さらにGoogleは、チップメーカーのNVIDIA Corp.とのパートナーシップの強化を発表した。Googleは、大規模な言語モデルの学習を高速化するために設計されたNVIDIAのチップと製品をより多く使用できるように、クラウドサービスを拡大すると述べた。Googleは、NVIDIAのH100アクセラレーター(AI熱狂の中で珍重された商品)へのアクセスをアピールし、チップメーカーのいわゆるスーパーコンピューターの最新バージョンを顧客に使用させると述べた。

今回の発表でGoogleは、競合他社から市場シェアを獲得することを目指し、人工知能の分野で他社と協力することにこれまで以上に意欲的であることを示した。Googleは、自社の製品やサービスをAIにおける最高の選択肢であると喧伝し、この分野での長年の経験を強調してきた。クラウド・コンピューティング市場において、GoogleはまだAWSやMicrosoftの後塵を拝しているが、同社のクラウドカタログにAIが追加されたことで、プラットフォームが最も多様なモデルから選択できるようになったという。

Googleクラウドの最高経営責任者(CEO)であるトーマス・クリアンは、今回の発表に合わせたブログ投稿で、「我々は、AIによって促進されるデジタルトランスフォーメーションの全く新しい時代にいる」と書いた。「このテクノロジーはすでに、ビジネスの進め方や人間同士の関わり方を改善しつつある」

クラウドカタログに新しいAIモデルを追加するだけでなく、Googleは自社のAIモデルやツールにも改良を加えていると述べた。5月に開催された年次開発者会議で発表されたGoogleの大規模言語モデルPaLM 2は、現在38言語で利用可能で、研究論文や書籍、法的概要のような長い文書をより適切に分析できるという。一方、コーディーと呼ばれるコーディングを支援するGoogleのAIモデルは、パフォーマンスを向上させるためにアップデートされた。同社のテキストから画像への変換アプリであるImagenは、より高品質な画像と、スタイルチューニングなどの新機能を備え、クラウド顧客がブランドガイドラインに画像をより適切に合わせることができるようになると、同社は述べている。

AIによって生成されたコンテンツの波に企業がどう対処すべきかという懸念が高まる中、Google Cloudは、画像が人工知能によって作成されたことを示す透かしを埋め込む機能を発表した。AI研究所のGoogle DeepMindの技術を利用したこの機能は、ピクセルレベルで透かしを埋め込むため、改ざんは困難だという。

Googleは火曜日の発表で、注目すべきクラウドの顧客やパートナーについてもアピールした。同社によると、Anthropic、Character.ai、Cohereなど、ベンチャー企業の半数以上がGoogleのクラウド・コンピューティング・プラットフォームを利用しているという。同社の業界別モデルも人気を集めているという。医療現場に適応したAIモデルであるMed-PaLM 2モデルは、現在バイエル薬品、HCAヘルスケア、メディテックなどの医療関連企業とのパートナーシップを誇っている、とGoogleは述べた。サイバーセキュリティ用に設計されたSec-PaLM 2モデルは、Broadcom Inc.やTenableといったプロバイダーによって利用されている、とGoogleは付け加えた。

クラウド部門はまた、Ampere Computingの新しいAmpereOneチップをベースにした商用サービスを発表し、データセンターでプロセッサを提供するチップメーカーであるIntel Corp.やAdvanced Micro Devices Inc.のライバルになれるという新興企業の主張に重みを加えている。Oracleの支援を受けているAmpere Computingは、自社のチップはライバルの製品よりも電力効率が高く、クラウドプロバイダーが必要とする高スループットコンピューティングに適していると主張している。

--取材協力:イアン・キング

Google to Add AI Models from Meta, Anthropic to Its Cloud Platform

By Davey Alba and Julia Love

© 2023 Bloomberg L.P.

翻訳:吉田拓史、株式会社アクシオンテクノロジーズ

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