ウクライナはいかに前代未聞の速さで電気系統の接続をロシアから欧州へと転換したか
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ウクライナはいかに前代未聞の速さで電気系統の接続をロシアから欧州へと転換したか

ウクライナはロシアの侵攻をうけ、驚異的な速度で電気系統の接続をロシアから欧州へと転換することが求められた。エンジニアは「1年分の仕事を2週間で」安全にこなすことを実現した。

サイエンティフィック・アメリカン

【著者:Anna Blaustein】2月24日、ウクライナの電力系統運用者は、同国の電力系統を、これまで常につながっていたロシアが運営する大規模なネットワークから切り離した。この切断は、ウクライナが自力で操業できることを証明するための72時間の試験的なものであった。このテストは、ウクライナが2017年から目指していた、最終的に欧州の電力系統とつながるための条件だった。しかし、演習開始の4時間後、ロシアが侵攻してきた。

2023年までとされていたウクライナの欧州への接続が急務となり、エンジニアたちはわずか数週間で安全に実現することを目指した。そして3月16日、2つのシステムを同期させるという重要なマイルストーンに到達した。欧州連合(EU)のカドリ・シムソン委員(エネルギー担当)は、「1年分の仕事を2週間でやった」と述べている。この分野では異例のことだ。アイルランドにあるコーク大学のエネルギー政策研究者ポール・ディーンは、「(電力系統運用者が)これほど速く、機敏に動くことは前例がない」と言う。「これほど早く同期化した電力系統は過去にない」

ウクライナは2005年に欧州の電気系統に加わるプロセスを開始し、モルドバと同様に2017年にその目標に向けて本格的に動き始めた。ヨーロッパと足並みをそろえ、ウクライナの主権を繰り返し脅かしてきたロシアへの依存度を下げるための継続的な努力の一環だった。東欧政策の専門家で、2018年から2020年までキエフの米国大使館でエネルギーチーフを務めた元米国外交官のスリヤ・ジャヤンティは、「ウクライナは、あらゆる意味でロシアの支配から切り離したかっただけで、グリッドはその一部だ」と話す。

2月下旬の試行期間終了後、ウクライナの送電網運営会社であるウクレネルゴは、ロシアとベラルーシに電力を供給するシステムに一時的に再参加するつもりだった。しかし、ロシアの侵攻によってそれは不可能になった。「ウクライナは孤立状態になり、電力供給の観点から非常に危険だ」とジャヤンティは言う。「ウクライナには電力を輸入する場所がない。孤児になってしまった」。ザポリジャー原子力発電所など重要なエネルギーインフラがロシアから攻撃されたことを考えると、特に不安定な状況だった(ジャヤンティによると、ウクライナの電気系統が最終的に自立運転できたのは、ウクライナ人の国外脱出で電力需要が3分の1程度に減少したためだそうだ)。

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