
復活を遂げたインテル、今後数年間は売上が回復すると予測
【ブルームバーグ】インテルは今年の売上高は2%弱増加し、後年には成長が回復すると予想している。新工場への投資が今後2年間でピークに達した後は、売上総利益率が54%から58%の範囲になると予想。
【ブルームバーグ】インテルは、最高経営責任者のパット・ゲルシンガーがかつての覇権を握っていたチップメーカーの再建を追求していることから、今年の売上高は2%弱増加し、後年には成長が回復すると予想している。
同社はサンフランシスコで開催された投資家向けイベントで、2022年の売上高は760億ドルに達し、その後2023年および2024年には1桁台半ばから後半の割合で増加するだろうと述べた。アナリストの予測では、今年の成長率は1%で、2023年には3%、2024年には8%の成長が見込まれている。
インテルは、一部の項目を除いた2022年の一株当たりの利益を3.50ドルとした。これも、3.44ドルと予測しているアナリストの予想をわずかに上回った。ウォール街の売上予想は751億ドルだった。
ゲルシンガーはこのイベントで、「計画を加速して実現できると自信を持っている」と語った。
インテルはこれまでのところ、在宅勤務の流行や、より幅広い機器への半導体の普及により急増しているチップ需要を生かすのに苦労している。昨年のチップ業界の売上収益は26%増の5,560億ドルで過去最高となったが、インテルは4%減だった。

一方で、同社のライバル企業は繁栄している。AMDの昨年の売上は68%増、エヌビディアは61%増となっている。アナリストの予測によると、これらの企業は2022年に再び25%以上の売上拡大を達成する見込みだという。
インテルの売上の大部分は、依然としてパーソナルコンピュータ(PC)市場から来ており、同社のプロセッサーはラップトップやデスクトップの大部分を占める最も重要なコンポーネントである。昨年は、リモートワークへの移行も手伝って、PCの出荷台数が過去10年間でなかった水準にまで回復した。しかし、アナリストたちは、この状況が続くかどうかについて懸念を示している。また、インテルはAMDとの競争が激化しており、アップルのように自社製チップに切り替える顧客も出てきている。
ゲルシンガーは1年前にインテルのトップの座に就き、約10年ぶりにチップメーカーに復帰した。インテルの主要幹部は17日に壇上に上がり、半導体ビジネスにおけるインテルの優位性をどのように回復させるかを説明した。
ゲルシンガー(60歳)は、数百億円を投じて新工場を建設し、台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSMC)やサムスン電子などの製造委託先と直接競合する計画を説明した。同時に、インテル社内の生産技術業務にもメスを入れ、2025年までにリーダーに返り咲くことを目標としている。また、AMDやエヌビディアと真っ向勝負するグラフィックチップなどの新市場への参入も進めている。
最高財務責任者(CFO)のデイブ・ジンズナーは、インテルが市場シェアの回復と新産業への参入を目指す中、財務規律の強化を約束した。新工場への投資が今後2年間でピークに達した後は、売上総利益率(製造コストを差し引いた後に残る売上の割合)が54%から58%の範囲になると予想している。これは、インテルの過去の最高値である60%以上をまだ下回っているが、同社がチップ生産の外注化を推進していることがマージンを圧迫していると、ジンズナーは述べている。
同社は、「投資フェーズ」が終了する2025年と2026年には、収益成長率が10%から12%に達すると予想している。
インテルは、グラフィックチップ事業が2025年までに100億ドルに近づく可能性があるという。一方、アウトソースチップ事業はまだ初期段階にあり、「始まったばかりだ」とゲルシンガーは述べた。インテルは今週、これらの事業を強化するためにタワー・セミコンダクターを54億ドルで買収することを発表した。
投資家は懐疑的な見方をしている。インテルの株価は過去1年間で23%下落し、フィラデルフィア証券取引所半導体指数の同業他社のほとんどに後れを取っている。また、インテルが決算を発表するたびに株価は大幅に下落しており、投資家が進捗状況に満足していないことを示している。
このような状況の中で、ゲルシンガーは株主に対して、彼のカムバックが定着しつつあると断言した。ゲルシンガーは「インテルの再生列車は駅を出発しており、皆さんにはぜひ乗っていただきたい」と述べた。
Ian King. Intel Sees Sales Picking Up in Coming Years as It Makes Comeback. © 2022 Bloomberg L.P.