
核抑止力に伴うとてつもないリスクとコスト
今回の戦争は欧州の安全保障秩序を根底から覆す可能性が高い。また、核兵器がいかに現実的な防護手段でないかを示している。世界は核兵器がない方がよいのだ。
【著者:Nina Tannenwald】2月24日にロシアがウクライナに侵攻して以来、ロシアのプーチン大統領はロシアの核戦力の警戒レベルを上げるよう指示を出し、核の脅威をベールに包んできた。ウクライナに対する露骨な侵略は、ヨーロッパをはじめ世界に衝撃を与えている。この戦争はウクライナにとって悲劇である。また、核抑止力に依存する西側諸国の限界も露呈している。
抑止力とは、核兵器を保有することで、圧倒的な報復の脅威から自国を守ることができるという考え方である。冷戦時代、米ソの戦争を回避できたのはこの考え方のおかげとされる。