Nest創業者、誰もが羨むGoogleの従業員特典を「クソマッサージ」と一蹴

誰もが羨むGoogleの従業員特典をなじる、異色の元インサイダーが登場した。スマートホームのパイオニアだったNestの創業者で、Googleに買収された後、同社のキャンパスで約2年を過ごしたトニー・ファデルだ。

Googleの福利厚生・従業員特典が充実していることは誰もが知っている。同社は1日3食を無料で提供している。マッサージ、シャトルバス、図書館、ビデオゲーム室の他、運動のための設備も充実している。マウンテンビューのキャンパスでは、ジム、バレーボールコート、ボーリング場、屋外スポーツ施設を利用できる。

しかし、AppleとGoogleの双方を経験したファデルはこれらが気に食わなかったようだ。彼はAppleでiPodとiPhoneの開発に貢献した後、2011年にNest Labsを共同設立し、2014年にNestをGoogleに32億ドルで売却し、様々なゴタゴタが伝えられる中、2016年に退社した。

ファデルは5月に出版した『Build: An Unorthodox Guide to Making Things Worth Making』(未邦訳)で、彼は特典を「Fuck Massages(クソマッサージ)」と名付けられた章で揶揄している。

Build: An Unorthodox Guide to Making Things Worth Making via Penguin Books

トニー・ファデルはAppleでiPodとiPhoneの開発に貢献した後、2011年にNest Labsを共同設立し、消費者向けスマートホーム市場に参入した。トニーは2014年にNestをGoogleに32億ドルで売却し、最終的にGoogleを退社した。現在はFuture Shapeという投資会社を経営している。

ファデルは書籍出版に際し、米テクノロジーメディアThe Vergeのポッドキャストに出演し、歯に衣着せぬ物言いを見せている。

「(特典を嫌う)理由は2つあると思う。医療、歯科、教育など、ビジネス以外の日々の生活や家庭を築くのに役立つ特典がある。それらをGoogleではベネフィットと呼んでいる…それから、いつでも無料で食事ができるなどの特典もある。会社と一体になって離れないように、より偏狭に、会社のことしか考えなくなるようなものもある。私はバスに反対しているわけではない。誤解を恐れずに言えば、大量輸送にはもってこいだと思う。しかし、バスは、朝の11時に仕事に遅刻し、無料のランチを食べた後、午後の2時に帰るための道具として使われているのだ。『その日、私は職場に現れましたよ』。本当にそうだろうか?」と彼は語った。

「このような特典を利用し始めたのに誰も反発せず、家族全員分の夕食を持ち帰り用の箱に入れて持って帰る人がいたら、『それは本当にここでやろうとしていることなのか?』ということになる。私たちがインセンティブを与えようとしているのはそこではなく、誰もそれに反発しないのだ。ミッションやチームから、個人主義や『私、私、私、私』へと移行してしまったのだ」

「特典や福利厚生のバランスが必要だ。私は、チームが一緒に働く姿を見たことがない。会社を良くしようという姿勢が見えない。彼らはお互いに、そして自分自身を向上させていたが、その当時は必ずしも顧客のために正しいことをしていたわけではなかった。今、スンダー・ピチャイCEOは多くの改革を行い、多くのことを押し戻している」

Appleは、Googleのように無料で食事を提供する企業とは対照的に、社員にコーヒーやカフェテリアの食事代を支払わせることでシリコンバレーでは有名だ。このランチは約8ドルという安価なものだったにもかかわらず、巨万の富を持つCEOであるジョブズ氏は、その支払いを回避する方法を見つけたという有名な話がある。

AppleとGoogleの双方で働いた経験があるファデルは、経営危機の経験が2つの会社を隔てていると指摘している。「理解してもらいたいのは、Appleはもっと長くビジネスを続けていて、80年代や90年代のような災難を経験してきたということだ。サイクルを経てきたのだ。Googleはサイクルを経験したことがない。すべて上昇し、下降線を管理しているので、実際に影響を受けることはない。彼らは現金収入源から搾り取ることを続けているため、物事を修正するための清算が行われたことはない」

「他の多くの企業では、本当に厳しい制約がある。Googleに予算がないとは言いないが、私がフィリップスやAppleのような大企業で経験したものに比べれば、はるかにゆるいものだ。iPodのチームでは、原子を相手にしていたので、1万ドル単位の異常なほど心配だった。『プロトタイプを200台作るのか、50台作るのか?どうやってそんなにたくさん作るのか、コストはどれくらいなのか』。GoogleはGoogle Cloudまで本当に原子を扱う必要がなく、大量の現金が入ってくるようになったのだ」