中国はNFTを排除しデジタル人民元の一点突破

中国では非代替性トークン(NFT)の駆逐が進んでいる。北京はクリプト(暗号通貨)の旨みはデジタル人民元のみですくい取る方針であり、それ以外は徹底的に排除している。

テンセント・ホールディングスが運営する微信(WeChat)は、クリプト(暗号通貨)からは手を引くよう求める中国規制当局の指針を受け、プラットフォーム上でのNFTの二次取引を禁止するルールを導入した。

テンセントは、先週、暗号通貨とNFTに関するセクションを追加した同社の利用規約を改訂した。追加された文言によると、暗号通貨取引、暗号通貨と法定通貨の交換、暗号通貨の価格設定サービスの提供に関する議論に従事しているアカウントは、すべてそれを停止する必要があるとのことだ。

テンセントは、取引チャネルを提供したり、ガイダンスを提供したり、ユーザーに暗号通貨を発行したりするアカウントに対する罰も詳述している。イニシャル・コイン・オファリング(ICO)やクリプト(暗号通貨)デリバティブの取引を可能にするアカウントも、その監視下に置かれることになる。

4月には、中国の金融機関はNFTに手を出さないよう求められ、証券、保険、融資、貴金属への利用が禁止され、デジタル資産の金融範囲がさらに制限されることになっていた。

北京の暗号通貨への態度は硬化の一途だ。中国は2021年5月に暗号通貨のマイニング(採掘)を禁止した。同年9月の通達では、採掘の取り締まりが引き継がれただけでなく、すべての仮想通貨取引を違法とし、さらに中国国民に取引サービスを提供しているすべての企業に対し、違法な金融活動に従事しているとみなすと宣言している。今回のNFT取り締まりも中国政府の態度が一貫していることを示しているだろう。

中国ではいま「デジタル人民元」の試験運用が始まっている。暗号通貨からプライバシーや非中央集権性を取り除き、利便性を採用した政府管理のデジタル通貨は、すでに中国国内でかなりのパイロットプログラムが試行されてきた。現在の焦点は、デジタル人民元が広大な13億人が住む地域をカバーしうるレベルのパフォーマンスを実現できるかだ。これまでの試験は都市ごとに一定期間の間、利用形態を限定しており、これがより大規模に拡張できるのかが気になるところだ。