
オリンパスCEOが語る、アクティビスト幹部の取締役会への参加
オリンパスの竹内康雄CEOは、米国のアクティビスト・ファンド、バリューアクトが同社の戦略や経営に関与することで、世界有数の内視鏡メーカーの変革に拍車がかかり、株価と利益を押し上げていると述べた。
アクティビスト・ファンドのバリューアクトが2019年にオリンパスを説得して取締役指名を受け入れて以来、オリンパスの株価は2倍以上になった。日本ではめったに見られないアクティビズムの勝利である。
同年、竹内康雄がリーダーシップを取り、バリューアクトのロブ・ヘイルほか2名の社外取締役が取締役に就任した。経営陣の外国人比率を高め、人員削減と非中核資産の売却を行い、医療機器に事業を集中させた。
「そのためには、多くの変化が必要であり、最終的には文化の変革が必要で、どんな種類の多様な意見や見解も大歓迎だ」と竹内はインタビューで語っている。「ロバート・ヘイルが取締役に就任してくれて本当によかった」
100年前に創業したオリンパスは、日本有数のカメラ・内視鏡メーカーとしてその名を知られている。2011年、新CEOのマイケル・ウッドフォードが不正会計を暴露して解雇されたことで有名になり、何年も続く大規模な企業腐敗スキャンダルの引き金となった。現在、カメラ業界はスマートフォンによって衰退し、ニッチなプレーヤーが数社残るのみであるが、オリンパスは医療技術機器に賭け、胃腸内視鏡の世界シェア70%を築きつつある。
バリューアクトは現在もオリンパスの役員を務めているが、もはや重要な株式を保有していないことが、ブルームバーグがまとめたデータで明らかになった。120億ドル以上の運用資産を持つ同ファンドは、日本での活動を続けている。バリューアクトは、日本の材料メーカーJSRの取締役会の席を獲得し、現在はセブン&アイ・ホールディングスに同社の評価を改善するよう働きかけている。「株主介入が必要かもしれない」と言っているのだ。
ロシアとウクライナにおけるオリンパスのビジネスについて尋ねられた竹内は、同社は物流上の課題にかかわらず、医療と外科手術のサポートを提供し続けると述べた。オリンパスはロシアに約150人、ウクライナに7人のスタッフを擁し、この地域の売上高は世界全体の1割にも満たないという。
40年のキャリアのうち3分の1以上を日本国外のオリンパスで過ごした竹内は、同社のバリュエーションを2倍以上にしたと評価されており、株価は1月に過去最高を記録した。

UBS証券会社で株式アナリストを務める小池幸弘は、竹内について「彼は約束した以上のことを実現している」と語る。「彼は本当に会社を変えたいと考えており、情熱を持っている」
竹内はオリンパスは科学ソリューション事業をスピンアウトさせる可能性もあるとし、「実際には無機的な成長機会を非常に重視している」と付け加えた。
小池によれば、このような動きによって、オリンパスは50億ドルもの資金を獲得し、買収に費やすことができるようになる。
「外から会社に圧力をかけられる味方がいたからこそ、人員削減とカメラ事業の売却を短期間で実現できたのだ」と小池は語った。
Kanoko Matsuyama, Grace Huang. Activist Fund Executives on Board Bolstered Olympus, CEO Says. © 2022 Bloomberg L.P.