
ブラジル中央銀行が構築した1億1千万人が利用するモバイル決済システム
【ブルームバーグ・ビジネスウィーク】1年前、ブラジルのモバイル決済システムPixプラットフォームは存在しなかった。それがPix今では人口の半分(1.1億人)が利用しており、デジタル決済の普及がいかに速いかを示している。
【ブルームバーグ・ビジネスウィーク】ある日曜日の午後、ブラジリア中心部の交通量の多い交差点で、一人の女性が通りすがりのドライバーにお金を要求している。ポルトガル語でマーカーで書かれた彼女の段ボール製の看板にはこう書かれている。「助けてください。空腹なんです。私はPix(ピックス)が使えます」
Pixはスマートフォンを利用して迅速に送金できるシステムで、ブラジルの中央銀行が開始してから11カ月で、どこにでもあるものになった。相手に現金を送るために必要なのは、電子メールアドレスや電話番号など、相手が設定した簡単なキーだけだ。米国の民間企業であるZelleと同様に、Pixは銀行や他のデジタルウォレットサービスの複数のアプリを通じて機能する。すでに1億1,000万人のブラジル人が一度でも利用しており、約890億ドルがこのネットワークを経由している。ブラジルでは、米国よりも多くの即時送金が登録されている。