血縁の争いに沈む欧州随一の富豪アニェッリ家―Rachel Sanderson
家族はあなたの強みになることもあれば、破滅に導くこともあるのだ。同族会社では、いとこを子会社の社長に据えるのではなく、有能な外部の経営者を据えることが重要であることがわかる。

(ブルームバーグ・オピニオン) --ステランティス、フェラーリ、エコノミスト誌の株を所有するアニェッリ王朝のトップ、ジョン・エルカーンは、家族経営企業が後継者とガバナンスをいかに管理すべきかの模範としての評判を確立してきた。しかし、親族のスキャンダルは、血のつながりが、最もプロフェッショナルな世襲企業においてさえ、いかに乱暴になりうるかを思い起こさせるものである。
エルカーンは、1899年に曽祖父が創業したフィアットの後継者であり、アニェッリ家の投資ファンドであり、多くの企業の持ち株会社であるエクソールの最高経営責任者(CEO)でもある。この数週間は波乱に満ちたものだった。11月7日、一族の故郷であるトリノで開かれた予備審問では、エルカーンと、別居中の母、ジャンニ・アニェッリの娘マルゲリータ・アニェッリとの20年にわたる相続争いで、新たな敵対関係の応酬が見られた。2003年に亡くなったフィアットの大物経営者は、1997年にエルカーンを後継者に指名していた。