印パ”SNS"戦争 虚偽情報と偽NGOによる情報工作

軍事緊張のさなかにあるインドとパキスタンの間で、ソーシャルメディアを兵器化したフェイクニュース戦争が発生しています。官製トロールファームと政治コンサルが、偽情報サイトと偽NGOの「陸空のあわせ技」の攻撃手法で暗躍しています。

2019年2月、(インドの管理下にある)南カシミールで、ジハーディスト(聖戦主義者)グループのジャイッシュモハメッド(JeM)のテロリストが、即席爆発装置(IED)を使用し、インド軍を攻撃しました。 2週間後、インド空軍がパキスタンのJeMキャンプと疑われた集落に対し空爆を開始したとき、テロ事件が軍事危機にエスカレートしました。インドのモディ政権は選挙を控えており、パキスタンからのテロは、千載一遇の好機となり、ナショナリズムを煽るための戦いを開始しました。

この後、ソーシャルメディアでの戦闘の火蓋が切られました。パキスタンはソーシャルメディア空間を急速に兵器化し、破壊されたジェット機や装置類の古い写真とビデオを使用して、パキスタン空軍との戦闘で、インドの戦闘機が破壊されたように見える残骸を暗示する虚偽情報をインド側で広めました。

フランスのAFPは、多くのソーシャルメディアの投稿で拡散された2つの動画は、2019年2月当時の出来事ではなく「2014年のパキスタンの独立記念日の航空ショー」のものだったと指摘しました。動画はインド側の恐怖を煽ることに成功しており、政情不安を引き起こす意図の一部を達成しました。

インド側の対応はかなり過激なものでした。カシミールのインターネットと電話回線へのアクセスを2019年8月に遮断しました。これは、インド政府が地域の自治権を取り消す決定を下したことへの反発を封じ込めようとしたためです。政府は徐々に固定電話回線を復元し、SMSサービスは12月31日に復元されましたが、700万人のカシミール人は、民主主義でこれまでに課された最長のインターネットシャットダウンを課せられています。政府は、人命を保護しテロリズムを防止するために必要な継続的なインターネットの停止を繰り返し正当化しています。しかし、インド最高裁は2020年1月、カシミールのインターネット閉鎖の見直しを政府に求める決定を下しました。

これらの活動の背後にいるのは誰なのかは依然として不明ですが、両国政府と関係の深いトロールファームと推定されます。

2019年2月の空爆以降は、インド側のトロールが拡大傾向を示しており、それは世界規模で行われています。親インドのフェイクニュースウェブサイトと偽NGOのグローバルネットワークが、欧州の意思決定に影響を与えることを目的とし活動している、と欧州の研究者は指摘しています。ブリュッセルに拠点を置くNGOであるEU Disinfo Labのレポートによると、連携し合う265サイトのネットワークが65か国で運営されています。

研究者は、フェイクニュースウェブサイトの大元をインドの会社、Srivastava Groupと特定しました。インド政府が会社に関連している証拠はありません。しかし研究者たちは、このネットワークの目的は、インドの隣人でありライバルでもあるパキスタンに対してプロパガンダを広めることだと考えています。両国は長い間、互いに対する物語を操作しようとしてきましたが、偽情報サイトだけでなく、偽NGOとの組み合わせにより、情報戦を制しようとしています。

Photo by www.AbhinayRathore.com (CC BY 2.0)

Caption: This picture is of my maternal grandfather Brig. Hari Singh Deora A.V.S.M (Ati Vishisht Sewa Medal), 18th Cavalry (Indian Army). This picture was taken after Indian Army destroyed over 100 Patton and Sherman Tanks of Pakistani Army during the 1965 Indo-Pak War. The place was later named as Patton Nagar in Pakistan. For more information, contact me through www.AbhinayRathore.com