ソフトバンクG、アームIPOに紐付いた80億ドルの証券担保融資を依頼
【ブルームバーグ】関係者によると、ソフトバンクGはアームの上場アドバイザーの役割を争っている投資銀行に、約80億ドルのマージンローン(証券担保融資)の引き受けを依頼している。

【ブルームバーグ】関係者によると、ソフトバンクGはアームの上場アドバイザーの役割を争っている投資銀行に、約80億ドルのマージンローン(証券担保融資)の引き受けを依頼している。
関係者によると、ソフトバンクGは、今年最大の新規株式公開となる可能性のある新規株式公開(IPO)の顧問団を整える中で、アームのIPO株に連動したマージンローンによる資金調達を検討しているという。
投資銀行は、アームのIPOバリュエーションを500億ドル以上にすることを計画している、と関係者は述べている。ブルームバーグは今月、業界の評価基準とアナリストの初期予測に基づき、アームの価値は250億ドルから350億ドルになるだろうと報じた。現金と株式の組み合わせでアームを買収しようとしたエヌビディアの破綻した試みは、2020年に発表されたときには約400億ドルの価値があり、入札者の株が上昇するにつれて600億ドル以上に上昇した。
ソフトバンクとアームの広報担当者はコメントを控えた。
ソフトバンクGの創業者である孫正義は、ロンドンがテクノロジーメジャーを国内取引所に呼び込もうとしているにもかかわらず、アームを米国で上場させることを選択している。孫は、エヌビディアが撤退するというニュースが流れて以来、アームのIPOの可能性を訴えてきた。孫は先週、投資家やアナリストに対し、「これは我々の当初の計画に戻るものだ。半導体史上最大のIPOを目指す」と述べた。
よりリスクの高いファイナンス
ソフトバンクGのマージンローンの要請は、近年のいくつかの有名な失敗の後、よりリスクの高い金融形態に対する銀行の意欲を試すことになる。米連邦準備制度理事会(FRB)は12月、アルケゴス・キャピタル・マネジメントの破綻で銀行が被った巨額の損失を検証する中で、金融機関に対して、投資ファンドを扱う際には十分な証拠金を確保する必要があり、そのポジションを理解する責任があることを伝えた。
孫がIPOとマージンローンを結びつけたのは今回が初めてではない。2018年には、ビジョン・ファンドのために90億ドルの融資の約束を取り付けた。これは、同年に行われた傘下の日本の通信キャリア事業のIPOに携わった証券会社を含む、ソフトバンクGへの融資を依頼されていたアドバイザリーによって提供されたと、ブルームバーグは報じている。昨年、同ファンドは、韓国の電子商取引大手クーパン社やオンライン食品配送サービスのドアダッシュ社への出資金を担保としたマージンローンを手配してもいる。
世界のIPO市場は、テクノロジー株の暴落、金利上昇の懸念、地政学的な緊張などにより、新規銘柄に対する投資家の熱意が失われ、史上最悪の年明けになった。そのため、競争の激しいIPOアドバイザリービジネスでは、アームのような案件が投資銀行から特に求められている。
このような背景から、銀行が提案するアームの企業価値は、500億ドルよりもさらに高くなる可能性があると、関係者の一人は述べている。ソフトバンクGが支援するウィーワークが2019年に不運な上場を試みたとき、銀行は同社のプライベート市場での企業価値470億ドルをはるかに超える額を提示した。
Gillian Tan, Ruth David. SoftBank Seeks $8 Billion Margin Loan as Part of Arm IPO. © 2022 Bloomberg L.P.