TeamsやSlackにうんざり? 分散型Matrixのユーザー数が6千万人に

分散型コミュニケーションのためのネットワーク「Matrix(マトリックス)」は、ユーザー数が2021年通年で79%の成長を記録し、現在6,000万人に達していると発表した。

Matrixは、分散型通信のためのオープンソースの標準規格です。Matrixはエンドツーエンドで暗号化されたVoIP/ビデオとメッセージを提供する。Slack、Microsoft Teams、その他いくつかの一般的なコミュニケーションプラットフォームの代替として、Matrixのクライアントアプリを採用する動きが世界で広がっている。

ユーザー数急増の要員として、テクノロジーメディアBleeping Computerによると、安全なコラボレーション・プラットフォームを求める個人や企業体が、主流製品に対するこのプロジェクトの優位性を認識しはじめたこと、加えてSlackに代わるMatrixベースのメッセンジャーであるElementアプリの人気が出始めたことと指摘されている。

ElementはWhatsAppの代替の1つとしても機能している。多くのユーザーがメッセージングプラットフォームとしてMatrixベースのインスタントメッセンジャーElementを好み始めているという。ElementのボスでMatrixの共同設立者であるMatthew Hodgsonは、6,000万という数字は実際には過小評価かもしれないと考え、英テクノロジーメディアThe Registerに電子メールで語っている。「サーバーやクライアントがデフォルトでMatrix.orgに使用統計を報告しないため、Matrixエコシステム全体の統計は限られている - 特に政府による配備については」

その他にも、背景としては、EUのデジタル市場法が施行され、メッセージングアプリの選択肢の拡大と操作性の向上が重要であることが示されたことや、もちろんプライバシーや主権に関する懸念もある。Hodgsonは、この顧客のマイルストーンについて、「ユーザーが、自分の情報をデータマイニングする広告費付きメッセージングアプリのターゲットになりたくないという明確なサインだ」と語っている。

Elementによると、昨年は2,500万人のユーザーがこのサービスに加わったという。Matrixは、これらのユーザはビッグテックの魔の手から逃れてきたユーザだと考えている。初期のSkype開発者Jaan TallinnはElementに最新の資金を投資した。

興味深いことに、ドイツの国立医療システム全体がMatrixを採用している。独政府は、医療システムのデジタル化にオープンソースを使うことを好んだ。ドイツの医療システムのデジタル化のための国家機関(gematik)はMatrixをベースとした全国規模の分散型プライベート通信ネットワークを構築し、ドイツの国民医療システム内の15万以上の医療機関をサポートした。

Matrixは、大手企業によるメッセージングやコラボレーションに代わる安全でプライベートな手段を提供するために活動している開発者とボランティアの小さなチームによって運営されている。