サードパーティCookieの終焉 GDPRとITPの包囲網

企業はデータマネジメントの問題のために、顧客から収集した情報(ファーストパーティのデータ)の収集と理解に苦労することがよくあります。 これは、企業が顧客情報を入力、整理、および保存する方法を確立しておらず、その情報はほとんど役に立たなくなります。この課題を克服するには、時間と費用がかかり、開発や運用をするための専門性の高い人材を惹き付ける必要も生じるため、多くの広告主は代わりにサードパーティのデータを使用する決断をとりました。問題は、サードパーティのデータの多くが、あやふやな同意のもと、ときには同意なしでオンラインユーザーから収集されていたことでした。

最近、特にソーシャルメディアでは、サードパーティデータの使用が裏目に出始めています。ケンブリッジ・アナリティカ事件はその最たる例です。ソーシャルメディアはユーザー情報の収集方法の再評価と変更が余儀なくされています。

欧州一般データ保護規則(GDPR)やカリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)などのプライバシー規制の高まりにより、Cookieや同様のツールを使用して、広告をターゲティングするのがさらに難しくなっています。

加えて、AppleのIntelligent Tracking Prevention(ITP)とFirefoxのEnhanced Tracking Protection(ETP)が主導するCookieブロック技術は、デフォルトでサードパーティのCookieをブロックします。GoogleのChromeでも設定次第で、消費者がサードパーティCookieをブロックできます。

Appleは、Adobe Flashを迅速に排除したように、Cookieにも唐突にメスを入れました。Appleは、しばらくの間デフォルトでサードパーティのCookieをブロックしていました。また、広告主が悪用した抜け穴を塞ぐために、サードパーティCookieがファーストパーティCookieとして記録されるのを防ぐこともできるようになりました。 SafariのAppleのITP2.2は、ファーストパーティCookieの有効期間を7日間から1日に短縮します。 これらのブロッカーは、SafariとFirefoxの両方でデフォルトでアクティブになっています。

これにより、Google Chromeに対する広告費は増加しているのに対し、Safariユーザーへの広告費は、2017年から大きく減少しました。

iPhoneでSafariを使用するユーザーのウェブにおける行動をサードパーティが追跡できるのは、全体の9%程度にすぎません。これに対し、Google Chromeをスマートフォンで使用するユーザーの場合、行動の79%が追跡可能とThe InformationのTom Dotanの記事は説明します。

マーケットリーダーのChromeに比べると、AppleのブラウザSafariの市場シェアは小さいのです。NewMarketShareによると、Safariは4月にデスクトップセッションの4%を占め、モバイルのブラウザーセッションの26%を占めました。

Chromeの優位性は揺るぎないものです。ブラウザ利用で6割を超すシェアを握り、他者の追随を許しません。

このため、Chromeを対象とした広告の効果が高いですが、iPhoneユーザーは富裕な傾向が強く、広告主にとっては、iPhoneユーザーへのターゲティング広告は非常に魅力的になっていますが、アドテク会社が見つけられる抜け穴は次第に塞がれつつあります。

このCMはAppleが、広告を主な収益源にするGoogleに対して、どのような思惑を持って、ITPのアップデートを繰り返しているかを雄弁に語ります。

参考文献

Tom Dotan. Apple’s Ad-Targeting Crackdown Shakes Up Ad Market. The Information. Dec. 9, 2019.

Tim Peterson. WTF is Apple’s ITP 2.3 update?. Digiday. Sep 27, 2019.

Prabhakar Raghavan. Raising the bar on transparency, choice and control in digital advertising. Google Ads blog. May 7, 2019.