
ソフトバンクGの孫正義氏にはまだ一縷の望みが残されているかもしれない:Tim Culpan
ソフトバンクグループとその創業者、孫正義氏は過去5年間、総額1400億ドル近い小切手を振り、400近い新興企業の株式を取得し、少なくとも1社は投資家に相当額の利益をもたらすほど成功すると考えてきた。
(ブルームバーグ・オピニオン) --ソフトバンクグループとその創業者、孫正義氏は過去5年間、総額1400億ドル近い小切手を振り、400近い新興企業の株式を取得し、少なくとも1社は投資家に相当額の利益をもたらすほど成功すると考えてきた。しかし、業績がさらに悪化している今、ソフトバンクは忠実な信奉者たちに次の大きな賭けを提供する時が来たのである。
過去1年間、孫氏は株主に疑念を抱かせるに十分な理由を与えてきたが、今回の決算発表でそれがあらためて明らかになった。ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)は12月期に合計50億ドルの損失を出し、設立以来純損益を悪化させている。2017年に開始された孫氏の最初のSVFは、896億ドルの投資に対して110億ドル増加しており、12%の小幅な上昇であると、日本企業は火曜日に報告した。
しかし、2年後にスタートしたSVF2は、499億ドルのスタートアップ株を買い、167億ドル減少している。さらに悪いことに、ソフトバンク・グループは業績の良い1号ファンドの3分の1しか保有していないが、2号ファンドのほぼ全株式を保有しているのである。
そのため、孫氏とソフトバンクの経営陣は窮地に立たされている。SVF1号はあと6年で満期を迎えるが、SVF2号はあと9年で勝機を見出さないといけない。
確かに、SVF2には約65億ドルの資金が残っており、SVFのチーフであるナブニート・ゴビルは、火曜日にBloomberg Newsに対して、同グループは2番目のファンドにさらに資金を追加するか、あるいはさらに別のファンドを開設する可能性があると述べた。しかし、3つのSVFと小規模の南米ファンドを合わせて、わずか6年で4つ目のファンドを立ち上げるとは、まるで次のポニーが自分を金持ちにしてくれると確信している、常習的なギャンブラーのようだ。

自社株買いが、今のところソフトバンクにできることのすべてだ。
ビジョン・ファンドはほとんど使い果たされており、投資先企業がいつエグジットするか(公募か買収か)について、経営陣が決定できることは限られている。確かに、ソフトバンクは単なるベンチャーキャピタル企業ではない。通信事業者であるソフトバンク株式会社の主要株主であり、アリババグループホールディング株式会社の大株主でもあるが、両社の浮き沈みに乗ること以上のことはできない。
そのため、海外市場への上場を目指す半導体事業者ARM Limitedの勢いが戻ってきたり、噂されているマネジメント・バイアウトが実現したりしても、孫氏とそのフロントマンである後藤芳光最高財務責任者が考えるのは、自社株を支えるためにいかに資金を使うかということだけである。そして、もし資金が底をついたら、さらに資金を調達する必要がある。
この戦略は今のところうまくいっており、12月期には40億ドルの自社株買いを行い、株価は15%上昇し、この2年間で最高の四半期となった。先月、同社は今期末までに14.7%の株式を消却する計画を発表した。さらに、この先も続くかもしれない。1月には、1兆5,000億円(115億ドル)の社債の売却を申請している。
しかし、この賭けが成功するとは言い切れない。日本国内経済が逆風にさらされていることを考えると、他のすべての事業が引き続きセンチメントの足を引っ張る可能性がある。通信部門は料金の低下に苦しみ続け、インターネット事業のLINEとヤフー・ジャパンの広告成長は東京の金融政策環境を考えると苦戦を強いられるだろう。投資家は金融や食品などの防衛部門など、金利引き締めから恩恵を受ける可能性が高い企業に焦点を移すことを好むかもしれない。
ソフトバンクのビジョンファンドは、まだ失敗とは言えない。しかし、投資家が諦めて資金を他に移す前に、もう少し持ちこたえるだけの理由が必要であり、自社株買いという退屈なルートは、今のところ良い賭けである。
SoftBank’s Masayoshi Son May Have One Big Bet Left: Tim Culpan
© 2023 Bloomberg L.P.
翻訳:吉田拓史、株式会社アクシオンテクノロジーズ