マスクは最大十数億ドルの損でTwitter買収から脱出できそう

テスラCEOのイーロン・マスクは、スパムや偽アカウントに関するTwitterが提出したデータへの疑念を理由に買収合意を覆そうとしている。Twitterにとっては自らを最も高く売れる機会を失う可能性が高まっている。

テスラCEOのイーロン・マスクは、440億ドルのTwitter買収契約を破棄したいと考えていることが、彼の代理人弁護士が金曜日に同社の最高法務責任者に送った手紙により明らかになった。

証券規制当局に提出されたマスクの顧問である弁護士事務所スキャデン・アープスのマイク・リングラー弁護士は、収益化可能なデイリーアクティブユーザー(mDAU)の約5%がスパムアカウントであるというTwitterの主張について、これを評価するための必要なデータや情報を提供していないと、先週金曜日の規制当局への提出書類の中で主張した。

リングラーによると、Twitterは「その契約の複数の条項に重大な違反をしている」し、契約を締結する際に「虚偽かつ誤解を招く表現」をしたようだという。Twitterは、公開情報のみからスパムアカウントを算出することは不可能であり、専門家チームがレビューを行って5%という数字に到達していると述べている。

これに対して、Twitterの取締役会会長であるブレット・テイラーは、金曜日の午後、取締役会が当初合意した価格と条件で取引を実施するために法的措置を取る予定であるとツイートした。Twitterは法廷闘争によってマスクに買収を完了させるか、「特定履行」と呼ばれる法的保護のもとで公正な補償を要求することになるだろう。

テイラーは「デラウェア州の裁判所で勝訴できると確信している」とツイートしている。最高経営責任者(CEO)であるパラグ・アグラワルもこのメッセージをリツイートしている。

4月25日に締結されたTwitterとの買収契約の条件に基づき、マスクは最低でも10億ドルの手数料を請求される可能性がある。しかし、Twitterのフェイクアカウントのデータに関する彼の不満の正当性を裁判所が認めた場合、この10億ドルが課されなくなる可能性がある。

マスクにとってはいずれにしても薄いダメージで「逃げ道」を確保することに成功したと言っていいだろう。マスクの訴えが通った場合はタダ。通らなかった場合も10億ドルと裁判費用がのしかかるが、テスラ株を大量に売ったマスクにとっては、十分に支払える金額だ。

これに先立って、ワシントン・ポストはマスクのチームは、買収案件の支援者たちとの資金提供に関する議論を止めたと報じていた。資金のパイプラインが途絶えたとすると、現在のマスクにはすでに買収を完了させる能力が欠如していると考えることもできる。