AI技術でバナジウムフロー電池の性能とコストを予測できる

このほど、中国科学院大連化学物理研究所(DICP)のLI Xianfeng教授が率いる研究チームは、VFBの性能とコストを予測し、最適化するための機械学習ベースの戦略を提案した。研究は、9月22日付の『Energy & Environmental Science』誌に掲載された。

バナジウムフロー電池(VFB)は、安全性が高く、サイクル寿命が長く、高効率であることから、定置型大規模エネルギー貯蔵に有望である。VFBシステムのコストは、主にVFBスタック、電解液、および制御システムに依存する。

研究室から産業規模までのVFBスタックの開発には、鍵となる材料から電池アーキテクチャまでの複雑な要因のため、実験に何年もかかる可能性がある。VFBの商業化を加速させるためには、VFBスタックとそれ以上のシステムの性能とコストを正確に予測する新しい方法が必要とされている。

提案された戦略では、動作電流密度を主な特徴とし、スタックの材料と構造を補助的な特徴としている。提案された機械学習モデルは、VFBスタックの電圧効率、エネルギー効率、電解質利用率、およびVFBシステムの電力・エネルギーコストを高精度に予測できる。

また、機械学習のモデル係数に基づいたVFBスタックの今後の研究開発の方向性、すなわち、より高い電圧効率とより高い電解液利用率を条件とした高出力密度VFBスタックの開発についても提案した。

この研究は、VFBスタックの研究開発に大きな意義を持つだけでなく、複雑なシステムの動的挙動を最適化・予測するために、機械学習と実験を組み合わせることの可能性を示唆している、とXianfengらは書いている。

Photo: New generation of vanadium flow battery stack technology offers low cost and high power density. (Image by SHI Dingqin) http://english.dicp.cas.cn/ns_17179/ue/202006/t20200612_238731.html

参考文献