GPT-4とPaLMの市場投入でAI競争がさらに白熱

昨年12月のChatGPTのセンセーションから間を置かず、AI研究所OpenAIはGPT-4をリリースした。Googleも大量のAI製品を公開。AIのユースケースを拡張する競争は激しさを増している。


OpenAIは14日、前世代よりも文章の要約や質問への回答に優れた大規模言語モデル(LLM)の後継バージョン「GPT-4」へのアクセス販売を開始した。

「OpenAIはGPT-4をより安全に、より整合性のあるものにするために、6ヶ月を費やした。GPT-4は、社内評価でGPT-3.5と比較して、許可されていないコンテンツのリクエストに対応する確率が82%低く、事実に基づいた回答を出す確率が40%高くなった」と同社はブログ記事で述べている。

GPT-4は以下のようなことを達成した。

  • GPT-4は、複数画像の連続したジョークを理解したり、図から情報を抽出するなど、複数の画像の内容を分析し、意味を理解することができる
  • OpenAIは、GPT-4に司法試験、ロースクール入学試験(LSAT)、GREのMath(Quantitative)セクションなどの各種科目試験などのテストを受けさせ、多くのタスクで人間並みのスコアを出した
  • 高校や大学などの自然•社会•人文科学の選択問題「MMLU」で全分野の専門家集団の平均が89.8%に対して、GPT-4は86.4%をマーク。司法試験でも上位10%のスコアを出し、その他のベンチマークでも優秀な数値をマークした
  • GPT-4は、最大32,768個のトークンの生成と処理をサポートしており、従来のモデルよりもはるかに長いコンテンツ作成や文書分析を可能にする

OpenAIは、言語教育アプリDuolingo、デジタル決済プロバイダーStripe、ネット教育NPOのKhan Academy、モルガン・スタンレーなどをすでにGPT-4を活用する企業として紹介した。

すでにBingのAIボットは密かにGPT-4を動かしていた。Microsoftの消費者向けマーケティング責任者であるYusuf Mehdiのブログ記事によると、6週間前にBingでは、GPT-4を採用していた。

Googleも応戦

Googleは「全ての製品にAIを組み込む」方針のもと、同じ日に大量の発表を合わせてきた。

Googleの対ChatGPT戦略はあらゆるものにAIを組み込むこと
人工知能はGoogleのものだと思われていた。同社は、あらゆる種類の遠い技術に長期的な賭けをすることで評判を高めており、現在のAI搭載チャットボットの波を支える研究の多くは、同社の研究所で行われた。

同社は14日、LLMの「PaLM」のAPIの開放を発表し、開発者がPaLMに特定のタスクを実行させるためのトレーニングを容易にするMakerSuiteを発表した。

また、Googleは、機械学習(ML)モデルを構築・展開するプラットフォームであるVertex AIにジェネレ―ティブAI(生成AI)のサポートを導入し、開発者がボット、チャットインターフェース、デジタルアシスタント、カスタム検索エンジンのリリースを支援する新サービス「Generative AI App Builder」を開始。Workspaceの新しいAIツール群も発表した。

Google Healthチームは同日、検索に搭載される機能、健康アプリを構築するためのツール、人工知能を活用した健康研究の最新情報を公開。医学的な質問に対して質の高い回答を提供するために設計されたMed-PaLM は、米国の医師免許試験で用いられるものと同様の多肢選択式問題で、合格点、つまり60%以上の得点を得ることに成功した最初のAIシステムである。

元OpenAIの社員が設立したAI企業Anthropicも14日、チャットボット「Claude」を発表した。このAIはチャットインターフェースからアクセスでき、要約、検索、共同執筆、コーディングなどを支援する。Anthropicは、チャットボットが意図したとおりに振る舞い、有害な出力を出さないように制御する「constitutional AI」を作ることに注力。ChatGPTの共同開発者であるDario Amodeiは、2021年にAnthropicを立ち上げ、Googleから3億ドルを調達していた。