昨年ブームだったLiDAR新興企業の淘汰が進行中

LiDAR新興企業で激しい淘汰が起きている。自律走行の実現が遅れ、投資家の熱が冷めた。ただ、市場自体は、自律性の低い運転支援で成長が見込まれており、長期的には様々な産業への転用が期待されている。


LiDARの著名企業2社であるOusterとVelodyneは先月、合併を発表した。この契約は2022年11月4日に締結され、2023年前半に完了する予定だ。

両者は高価格帯のLiDARを販売しており直接的な競合相手である。Velodyneはこの業界のパイオニアである。合併により、合計約3億5,500万ドルの現金残高(2022年9月30日)を有する強固な財務体質を獲得すると、両者は合併理由を説明している。

投資家の熱が冷めたことにより、事業継続が不可能になる新興企業も現れている。今年始め特別目的買収会社(SPAC)を通じて14億ドルの株式価値で上場した固体LiDARメーカーのQuanergyは先週、連邦破産法11条の適用を申請した。

先月、ドイツのLiDAR開発会社Ibeo Automotive Systems GmbHは、追加資金を確保できなかったため、破産を申請した。微小電気機械システム(MEMS)ベースの車載用半導体LiDARと先進運転支援システム(ADAS)ソリューションを開発するMicroVisionが、Ibeoの一部資産を1,580万ドルで急遽買収した。

豪州に拠点を置くLiDAR技術のメーカーであるBarajaは、1億5,000万ドルの非公開評価を受けていたが、戦略的投資家を見つけるために投資銀行を雇ったと認めている。

昨年、自律走行企業Cruiseの共同創業者兼CEOであるKyle Vogtは、LiDAR業界は統合されるだろうと予測していた。Vogtによると、問題は、予測される収益が「完全に重複する潜在顧客」から来ており、将来の予測に適用される割引がほとんどないことだ、と彼は主張していた。

LightCountingのCEOであるVladimir Kozlovは、レベル4/5の自律走行技術開発企業の閉鎖が注目されているにもかかわらず、LiDARは将来的に健全な採用が見込まれると語った。フォードが10月に、フォルクスワーゲンとの数十億ドルの合弁会社Argoを閉鎖し、当面はインテルなどの既存のサプライヤーからの支援を受けてレベル2/3の先進運転支援システム(ADAS)に注力すると明かしていた。最も高性能なLiDARを必要とするロボタクシー事業の競争は、実質的にAlphabetのWaymoとGMのCruiseのマッチレースへと姿を変えている。

https://www.axion.zone/cruisewaymo/

このようなL5の失速はLiDARサプライヤーにとって必ずしも損失にはならないかもしれない。L2/3 ADAS用途のLiDARの売上は、2023年から2027年にかけて急成長するとLightCountingは予測している。

LiDARの対抗製品でサーマルカメラOwl Autonomous ImagingのCEO兼共同設立者のChuck Gershmanは、LiDAR単体では、完成車メーカーの選択肢にならないことを業界は認識しつつある、と述べている。LiDARには2つの根本的な問題、すなわち過剰な能力と高コストがあると指摘する。

Ibeoの資産の一部を買収したMicroVisionのCEOである、Sumit Sharmaは、自動車メーカーがL2、L3に対応するためには、カメラ、レーダー、LiDAR等によるセンサフュージョンが必要だと主張している。「私たちの戦略は、LiDARハードウェアとパーセプションソフトウェアのティア1パートナーとなり、最もOEMに適したソリューションとビジネスモデルを提供することです」と彼は米エレクトロニクスメディアFierce Electronicsに対して語っている。

Sharmaは、ライダー技術は自動車産業以外にも、商用車、産業用、ロボット工学、さらにはスマートインフラ生産など、多くの機会があると述べている。