トヨタ、デンソー、SBG出資の自律走行企業Aurora、身売りを検討

自律走行車新興企業Aurora Innovationのボスは、競争で後手を踏み、現金を失う中で、雇用凍結や資産の切り売り、非公開化、AppleやMicrosoftへの身売りまで生き残り策の全てを提示し、波紋を広げている。

ロイターや米テクノロジーメディアTechCrunchが社内メモを基に報じたところによると、これらのアイデアは、いずれも厳しい市場環境の中で現金を確保し、経営基盤を守ることを目的としている。この社内メモは、8月3日に開催される取締役会向けのものだったが、誤って現在約1,600人いるAuroraの全従業員に送られてしまったという。

ブルームバーグの初報を受けて、Auroraの株価は一時27%も跳ね上がった。株価は15.17%上昇し、2.43ドルで取引を終えた。事業売却や非上場化を期待しての動きだろう。

Auroraの株価は、昨年末に特別目的買収会社(SPAC)と合併し、140億ドルのバリュエーションを得て以来、苦戦している。2日の取引終了時点の時価総額は28億ドルで、最高値から約8割落としている。

今年は、ピッツバーグに本社を置く同社にとって、厳しい年だった。自律走行ソフトウェアを開発し、自律走行型の貨物トラックを走らせるという目標を1年遅らせて2024年としたため、Auroraは約2億3千万ドルの現金を燃焼した。これはWaymoやCruseのようなライバルに大きく引き離されたことを意味する。

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ただし、現金は尽きていない。第2四半期の株主向け書簡によると、「収益前」のAuroraは、2024年半ばまで事業を継続できる現金を持っているという。しかし、事業環境は厳しいようだ。Tech Chrunchが引用した共同創業者でCEOのクリス・ウルムソンが書いたメモでは、金融市場が厳しいために追加資本の調達が困難であることと、完成車メーカーのパートナーによってスケジュールが変更されるために収益化が遅れることを認めている。

ウルムソンは、メモの中で市場環境から10億ドルの資金を調達することは不可能であると指摘。 「今後1年間で3億ドルを調達し、6カ月程度の資金を追加する」こととコストカットが所要な財務戦略になるということだ。

人員削減の他、CEOの株式交付金の廃止、ソフトウェアライセンスの20%削減、年間ボーナスの停止、フードサービスの停止などの支出削減策もメモに書かれていた。

9月3日の取締役会に先立って送られた長いメモには、AppleやMicrosoftなどの大手テック企業や、一次請け(Tier1)サプライヤーへの身売り、Auroraの非公開化も含まれている。ただ、このメモには、交渉が開始されていることを示す記述はない。

他にも、メモには全てのオプションが列挙されている。テストコースや建物の売却から、LiDARやシミュレーション資産のスピンアウトや売却、バランスシート上の現金が「1億5,000万ドルから3億ドル程度」で取引されている他の自律走行車(AV)企業の買収まで含まれる。キャッシュリッチな別のAV企業を買収では、株式交換で現金の支出なしに買収し、相手方の現金を取り込むことができ、重複する人員を削減することでシェイプアップできる。

Auroraは買収の道筋を分析するために投資銀行のAllen & Companyを雇ったという。

Auroraは2020年12月、トヨタ、デンソー、ソフトバンク・グループ(SBG)が出資するUberの自動運転部門を買収した。Uberは統合後の会社の26%の株式を取得し、日本の3社もまた統合後の会社の株主になった。Auroraは2021年に少数株主のトヨタとデンソーとの協業を発表している。

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