CATLが電池覇権を確立しつつある

CATLの最新の業績は、同社が極めて好調な事業環境にあることを再び印象づけた。EVと再エネの両輪で帝国を築こうとする中国政府の野心において、CATLはその中心的存在であることは間違いない。


CATLは23日夜、2022年半期報告書を発表した。2022年上半期の収益は1129.7億元で、前年同期比156.32%増である。研究開発費用は57億6,800万元だった。

公表された財務データによると、上半期の電力用蓄電システムの収益が前年同期比159.9%増の791億4,300万元、リチウム電池材料の収益が同174.15%増の136億7,000万元、エネルギー貯蔵システムの営業収益が同171.41%増の127億3,600万元となった。

同社の提出書類を基に算出すると、CATLは、4~6月の純利益を66億8,000万元(9746万ドル)計上した。ロイターは前年同期比164%増としている。また、ロイターの計算によると、収益も4−6月期で642億9,000万元と、前年同期比の249億1000万元から急増したことがロイターの計算で明らかになっている。

SNEリサーチのデータによると、世界のEV用電池市場におけるCATLのシェアは上半期に34.8%に達し、前年同期比6.2ポイント増とリードを広げている。

CATLの国内市場での地位も揺るがない。中国自動車動力電池産業革新連盟(CAVIA)が7月中旬に発表した国内動力電池設置企業の6月のデータによると、CATLが49.60%で1位だった。2位から5位はBYDが18.53%、LGエナジーが6.19%、中航鋰電科技(CALB)が6.01%、国軒高科(Gotion Hi-Tech)が4.94%であった。

6月の電池設置企業上位15社。CATLの独壇場。出典:中国自動車動力電池産業革新連盟(CAVIA)

コンサルタント会社のBenchmark Mineralsは、メーカーが公表している計画を分析し、もしそれが実現すれば、2031年までに世界で282の新しいギガファクトリーが稼動するはずであることを発見した。中国に226ヶ所と電池のギガファクトリーが一極集中すると予想されている。インドネシアが24ヶ所と躍進を見せる一方で、日本は蚊帳の外に置かれそうだ。

中国に電池のギガファクトリーが一極集中すると予想される。出典:Benchmark Minerals

中国がEVと再エネの戦略的要所である電池を支配しようとしているが、その中心にいるのはCATLだ。このトレンドは変わりがない。そして、CATL会長の曾毓群は、新時代の中国人起業家を代表する人物だ。

中国でテックセクターの没落とともに新しい起業家が台頭
鄧小平とその後継者たちは、行き過ぎた国家統制の欠点を理解していた。次世代の起業家については、習氏は最近、「あえて起業する」よう促している。習氏のメッセージは、政府が優先的に取り組む分野に焦点を当てる限り、新興企業に対する揺るぎない支援の一つである。