GoogleとMetaのデジタル広告支配が緩みつつある

今年はGoogleとMetaの2社によるデジタル広告業界の支配が、2014年以来初めて、米国市場全体の過半数を下回ると予想されている。AmazonやAppleの陣地は着実に広がっており、2社支配の時代は終わったかもしれない。


調査会社Insider Intelligenceのデータによると、MetaとGoogleが握る米国の広告収入のシェアは、今年2.5ポイント減の48.4%になると予測され、2014年以来初めて両グループが市場の過半数を占めなくなるという。

GoogleとMetaは合わせて今年、米国の全デジタル広告収入の48.4%(Googleは28.8%、Metaは19.6%)を獲得し、2017年のピーク時の54.7%(Googleは34.7%、Metaは20.0%)を下回る見込みだ。Insider Intelligenceは、2024年には43.9パーセントに低下すると予測している。

2者の支配に対する最大の脅威は、広告ビジネスを年間300億ドル以上にまで成長させたAmazonだ。2024年までに、Amazonは米国の全デジタル広告費の12.7%を獲得し、17.9%のMetaに肉薄すると見られている。Amazonは自社のショッピングサイト以外にもオンサイト広告ビジネスを拡大している。

Appleもまた、新たな脅威として浮上している。同社の広告収入は、2018年の22億ドル以下から、今年は70億ドル超に拡大する見込みだ。これは世界市場の1.2%に過ぎないが、すでにSnapchatとPinterestの合計を上回っており、2026年までにAppleの広告収入が300億ドルに達するとの試算もある。

Appleはアドテクノロジー(広告技術)人材の採用とアドテクノロジー製品群の構築を進めているとされている。また、広告主が優先的にターゲティングしたいiPhoneユーザーを事実上握っており、Metaのような広告企業がトラッキングを行うのが難しくなるAppStoreのポリシー変更のような、ルールを変更する力を持っている。

Hulu、Roku、パラマウント映画のPluto、FoxのTubiなどのストリーミング企業は、従来型のテレビからより多くの広告予算が流出する中で、デジタル広告市場のシェアを総体的に拡大している。

TikTokの広告ビジネスは活況を呈しているものの、ビッグテックのライバルに比べれば、米国ではまだ比較的小規模だ。TikTokは2024年に86億ドルの広告収入を得る見込みで、これはGoogle、Meta、Amazon、Microsoft/LinkedInに続く米国第5位のデジタル広告企業となることになる。

ただし、TikTokの存在はGoogleやMetaのビジネス環境を悪化させていると言えるだろう。より多くの人々がTikTokやAmazonを活用してオンラインで商品やアイデアを検索し、Googleの検索支配から勢いを奪っている。TikTokへのユーザーの可処分時間の移行は、InstaglamやFacebookの広告的価値を確実に減らしているだろう。

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