アマゾンの広告事業は着実に成長している

アマゾンの広告事業は着実に伸びており、成長が止まったMetaとは相反する結果となっている。デジタル広告業界においてGoogleとMetaから大きく離された3位にある同社が、その差を縮める可能性は大いにある。

アマゾンの広告事業は着実に成長している
情報公開があまりされていない、謎のベールに包まれたアマゾン広告部門のロゴvia Amazon

アマゾンの広告事業は着実に伸びており、成長が止まったMetaとは相反する結果となっている。デジタル広告業界においてGoogleとMetaから大きく離された3位にある同社が、その差を縮める可能性は大いにある。

28日に公表された決算報告で、アマゾンの広告収益の成長は、最近の減速が始まる前の第1四半期の前年同期比32%から、第2四半期には同18%に減速した。しかし、他のデジタル広告会社と比べれば、まだそれなりの速度を保っている。Metaの広告収益は明らかに、第1四半期の前年同期比20%から第2四半期には同マイナス1.5%に減速している。Googleの広告収益でさえ、第4四半期の32.5%から第2四半期には11.6%に減速している。

AWSの営業利益57億ドルは、アマゾンの他の部門の損失24億ドルを相殺した。しかし、広告がなければ、Amazonの他の部門はもっと大きな損失を出していたと想定されている。

Amazon Adsは、Amazon Ads APIを通じて、スポンサープロダクトのキャンペーン指標を1時間ごとに広告主または代理店に自動配信する製品「Amazon Marketing Stream(ベータ版)」を発表した。このストリームは、ほぼリアルタイムのパフォーマンスインサイトを提供することで、より効果的なキャンペーンの最適化、キャンペーン変更への俊敏な対応、運用効率の向上を実現し、広告主のビジネス成長を支援する。

米国のデジタル広告市場におけるアマゾンのシェアは、2019年の7.7%から今年は12.6%に達するとインサイダー・インテリジェンスは予想している。

最高財務責任者(CFO)はブライアン・オルスマフスキーは、28日の決算報告において、広告収益の地理的な区分けはしていないといしたが、「広告収入の大部分は北米にある」と明らかにしている。「しかし、海外でも大きな前進を遂げている。また、ご指摘のとおり、消費者向けウェブサイトから動画配信、Twitchなど、広告商品の種類を増やしている」

アマゾンは昨年はストリーミング・ビデオ・コンテンツにインタラクティブ広告を導入し、プレミアム動画ストリーミングサービス「Freevee」を導入した。

Amazon Musicの広告版利用者に対してはオーディオ広告を配信している。

インベスターリレーションズ担当ディレクターのデイブ・フィルデスは、一方、ビデオ広告はまだ初期段階にある、と語っている。「視聴行動は、従来のケーブルテレビなどの伝統的な視聴から、ますます主流になりつつある。広告主は、当社の広告付きコンテンツを利用して、そのような視聴者にリーチしている。現在進行中のものとしては、FreeveeやTwitch、そしてもちろん、Thursday Night FootballやAmazonのストリーミングTV広告などがある」

小売業界、アマゾンに広告予算をシフトか

ブランドや代理店はFacebook、Instagram、Googleのソーシャル広告の効果が低いため、ブランドは広告費をEコマース大手のAmazonにシフトしていると、米小売専門メディアModern RetailのジャーナリスVidhi Choudharyは書いている。このシフトは、Facebookのようなプラットフォームでの低調な広告効果と、アマゾンがマーケットプレイス以外のプラットフォームで広告の存在感を増していることが原因だと、関係者は述べているという。

Facebookの親会社Metaは、AppleのApp Tracking Transparency機能は2022年に同社に100億ドルの損失をもたらすと述べている。また、Googleは2月、同社のAndroidスマートフォンでアプリの監視を減らす新たなプライバシー制限を実施すると発表した。

Read more

AI時代のエッジ戦略 - Fastly プロダクト責任者コンプトンが展望を語る

AI時代のエッジ戦略 - Fastly プロダクト責任者コンプトンが展望を語る

Fastlyは、LLMのAPI応答をキャッシュすることで、コスト削減と高速化を実現する「Fastly AI Accelerator」の提供を開始した。キップ・コンプトン最高プロダクト責任者(CPO)は、類似した質問への応答を再利用し、効率的な処理を可能にすると説明した。さらに、コンプトンは、エッジコンピューティングの利点を活かしたパーソナライズや、エッジにおけるGPUの経済性、セキュリティへの取り組みなど、FastlyのAI戦略について語った。

By 吉田拓史
宮崎市が実践するゼロトラスト:Google Cloud 採用で災害対応を強化し、市民サービス向上へ

宮崎市が実践するゼロトラスト:Google Cloud 採用で災害対応を強化し、市民サービス向上へ

Google Cloudは10月8日、「自治体におけるゼロトラスト セキュリティ 実現に向けて」と題した記者説明会を開催し、自治体向けにゼロトラストセキュリティ導入を支援するプログラムを発表した。宮崎市の事例では、Google WorkspaceやChrome Enterprise Premiumなどを導入し、災害時の情報共有の効率化などに成功したようだ。

By 吉田拓史
​​イオンリテール、Cloud Runでデータ分析基盤内製化 - 顧客LTV向上と従業員主導の分析体制へ

​​イオンリテール、Cloud Runでデータ分析基盤内製化 - 顧客LTV向上と従業員主導の分析体制へ

Google Cloudが9月25日に開催した記者説明会では、イオンリテール株式会社がCloud Runを活用し顧客生涯価値(LTV)向上を目指したデータ分析基盤を内製化した事例を紹介。従業員1,000人以上がデータ分析を行う体制を目指し、BIツールによる販促効果分析、生成AIによる会話分析、リテールメディア活用などの取り組みを進めている。

By 吉田拓史
Geminiが切り拓くAIエージェントの新時代:Google Cloud Next Tokyo '24, VPカルダー氏インタビュー

Geminiが切り拓くAIエージェントの新時代:Google Cloud Next Tokyo '24, VPカルダー氏インタビュー

Google Cloudは、年次イベント「Google Cloud Next Tokyo '24」で、大規模言語モデル「Gemini」を活用したAIエージェントの取り組みを多数発表した。Geminiは、コーディング支援、データ分析、アプリケーション開発など、様々な分野で活用され、業務効率化や新たな価値創出に貢献することが期待されている。

By 吉田拓史