[ビジョン]人類をあらゆる制約から解放し、その幸福追求を最適化する

ここでは私、吉田拓史がこのようなビジョンを設定するに至った経緯を共有します。2010年代に世界を席巻したソーシャルメディア・ネットワークは、時に兵器化され、社会に害を及ぼしてきました。そのような人間社会の脆弱性を克服し、新たな価値を創造することが、私たちの目指すところです。

[ビジョン]人類をあらゆる制約から解放し、その幸福追求を最適化する
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Vision: Get humanity free from any constraints, Optimize their pursuit of happiness
The social media networks that swept the world in the 2010s have sometimes been weaponized, causing harm to our society. Overcoming such vulnerabilities in human society and creating new value is the goal of our company.

2010年、私はジャーナリストとしてインドネシアに拠点を置く日系新聞社で働き始めました。 私はインドネシアの政治、経済、ビジネス、また東南アジアの地域経済連携、外交と広範な範囲をカバーしていました。最後の2年ほどは政治担当となり、インドネシア語や同国の政治経済に関する知識を活かし、大統領官邸、政治家、政党等を現地の状況を取材していました。学部を卒業したばかりの外国人ジャーナリストである私にとって、インドネシアという広大な国家にあるものすべてが新しいものだったので何をするにもとても興奮しました。

19th ASEAN & East Asia Summitのメディアセンターにて記念撮影。2011年11月。

それから衝撃的なことに直面しました。それは超大規模なフェイクニュースでした。

2014年のインドネシア大統領選挙の選挙戦が激化したとき、フェイクニュースはソーシャルアプリ、メッセージングアプリ、SMS、電子メール、さらには対面コミュニケーションでも行き来しました。 フェイクニュースはオフラインメディアにも現れました。 非公式にある候補者を支援しているテレビ局数社は、非常に疑わしい世論調査を報道し続け、それはSNSに流布され、情報の「反響」のようなことが起こり、やがて事実になっていきました。 密接な人間関係が築かれていることで知られる同国の村落では、政党、特殊部隊や反社会勢力がその人的ネットワークを通じて偽の噂を撒き散らし、大統領候補を中傷する大量のタブロイドと手紙が2億6,000万人に配布されました。

プサントレン(イスラム寄宿舎)に配布された人種、宗教差別を含む誹謗中傷のタブロイドを見せてくれた穏健派のイスラム宗教指導者。配布を受けた状況を詳しく説明してくれた。2014年6月、東ジャワ州、吉田拓史撮影

問題はフェイクニュースが常に人種差別的または宗教差別的であったということです。 それは少なくとも300の民族と6つの宗教からなる「想像の共同体」にとって非常に危険なことでした。 当時私はインドネシア語の環境に身をおいており、インドネシア人の友人をたくさん持っていました。 私はインドネシアの有権者とほぼ同じ状況を経験することができたのです。 それは悪夢でした。

私が理解したことは、大統領選挙のように人々が2つの異なる結論に対して感情的になっているときに、誤った情報を配布し人々の感情を刺激することによって、人々の意思決定に影響を与えるのはとても簡単だということです。この結論は後になって、フェイクニュースが結果に影響を与えられたと想定されている2016年のアメリカの大統領選挙とBrexitに関する国民投票でより裏付けられたと僕は考えています。 そして日本でも、同時期に似たような情報工作が続いてきたことも確かです。特定の状況では、第三者がモバイルを介して人々の意思決定に介入できる可能性があります。

携帯電話を手に入れた人類にはどんなメディア消費が望ましいか?

現代のメディア消費は、テレビ、ラジオ、新聞などのマスメディアタイプから始まりました。 このタイプは、権威者が情報を人々に配布するのに非常に効果的な方法です。 権威が誤った意図を持っているか、または一定の質を満たした情報を生成する能力の欠如に苦しんでいるとき、マスメディアはとても危険な装置と化します。 我々は人間の歴史の中でメディアが人々を戦争に駆り立て、独裁体制を築くために使われてきたことを知っています。

商用インターネットが登場した後、ネットワークタイプのメディア消費が登場しました。 今日の人々はコンテンツを生成し、自分で簡単に配布することができます。 モバイルの登場は、なおさらメディアの生成と消費に人々を駆り立てるようになりました。これは革命的でした。しかし、問題がありました。 この情報配信ネットワークは、フェイクやヘイトを流通することを意図する悪意の攻撃者に対して非常に脆弱であり、先に述べたように、世界中でさまざまな事件が起こることでそれは証明されました。

下の図は「スケールフリーネットワーク」と呼ばれます。一部のノードが膨大なリンクを持つ一方で、ほとんどはごくわずかなノードとしか繋がっていないようなネットワーク構造のことです。膨大なリンクをもつノードが邪悪であったり、情報分析の力に欠けていると、簡単に誤った情報が流通します。同時に行動する多数の邪悪なノードこそフェイクニュースが大量に流通する主要な要因だった、というのは有力な説なのです。

Scale-free network, Image by Simon Cockell, Attribution 2.0 Generic (CC BY 2.0)

解決策は重要な情報流通の交通路であるノードを賢くすることです。情報を選択し、それを高付加価値のエッセンスに変換する「スマートノード」をネットワークのなかに構築することです。スマートノードは広く配布されている情報をコミュニティの言語に翻訳し、クラスタに属する人々の利益を生み出します(詳しくはミッションを参照)

これはそれほど新しいことではありません。 人類の歴史を紐解くと、本、新聞、雑誌、専門誌、書店、図書館…などがその役割を果たしてきました。 しかし、商業インターネットが生まれ、情報流通の革命が起きた後でも、この役割を効果的に果たす有力な手段はまだインターネット上に構築されていません。

誰もが良い情報に触れることができ、それが長期に渡って保証されたものであれば、社会はより進化していくでしょう。情報の質が向上すれば、人々の意思決定は明らかに向上します。

意思決定を改善することは、意思決定から得られる報酬と、意思決定および行動からの学習効率の向上の呼び水となり、ひいては、人類社会の進化を加速することができるのではないでしょうか。

私はこれらの仮定から、アクシオンというスタートアップを始めるにあたって、このようなビジョンを定義しました。

「人類をあらゆる制約から解放し、その幸福の追求を最適化する」

株式会社アクシオンテクノロジーズ

代表取締役 吉田拓史


ミッション

ミッション:インターネットの情報流通を改善する「賢い節」をつくる
スマートノードとは、中央集中型の情報散布機能である「ブロードキャスト」から、人々を結んでいくつながりへと移行する情報世界のなかで、凝集するクラスタと協働する頑強な結節点たちのことです。

プロジェクトのウェブサイト

プロジェクト「アクシオン」
プロジェクトの要点 偽情報やフィルターバブルに耐性のある、ウェルビーイングに配慮したハイエンド・ニュース・ツールを作るプロジェクト 大規模の偽情報・誤情報・情報操作による社会への影響を防ぎ、人類の幸福追求と知識の発達を促すニュース・コミュニケーションを目的とする プロジェクト開始の契機は、ジャーナリストの吉田拓史が、2014年のインドネシア大統領選挙を取材していた際にソーシャルネットワーキングサービスを経由した大規模の情報操作に直面したことに依拠する。吉田はその後、2016年の米大統領選挙、ブレグジットの国民投票で行われた同様の混乱を目の当たりにし、プロジェクトの必要性について確信した。201

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