Facebookの内部告発で超党派のテック企業規制が再燃

Facebookの内部告発で超党派のテック企業規制が再燃

要点

Facebookの元従業員による衝撃的な証言により、米議会は大企業に対する規則を強化すると宣言し、テック企業を規制するための超党派的な支持が再び高まっている。テック企業のロビイストは再びこの問題をうやむやにできるか。


Facebookの選挙介入と誤情報への対処に当たる「シビル・インテグリティ・チーム」の元プロダクトマネージャーで4月に退職したフランシス・ホーゲンは、3時間に及ぶ公聴会で、かつての雇用主が、様々な悪影響がユーザーに及ぶ可能性がある場合でも、同社の利益を優先しようとしたことを非難した。

ホーゲンは、Facebookが扇情的なコンテンツの拡散を低下させるアルゴリズムの変更を実施しないことを何度も決定していたと語った。「より多くの分断、より多くの被害、より多くの嘘、より多くの脅威、そしてより多くの戦闘が発生した。場合によっては、このような危険なネット上の会話が、実際の暴力につながり、場合によっては、ネット上の危険な会話が実際の暴力につながり、人を傷つけたり、殺したりすることもあった」。

「FacebookとInstagramをより安全にする方法を知っているのに、必要な変更をしようとしないのは、人々よりも自分たちの莫大な利益を優先しているからだ」とホーゲンは委員会のメンバーに語った。「フェイスブックに在籍していたとき、私は壊滅的な事実に気づいた。それは、Facebookの内部で起きていることを、Facebook以外のほとんどの人が知らないということだ。Facebookは、重要な情報を一般市民や米国政府、そして世界中の政府から意図的に隠している」。

ホーゲンは「Facebookの指示によらない研究のために、データに完全にアクセスできるようにする」ことを求めた。「この基盤の上に、消費者被害、違法コンテンツ、データ保護、反競争的行為、アルゴリズムなどに対処するための賢明なルールや基準を構築することができる」と語った。

現在、誤情報の社会への影響を調査する研究は盛んに行われているが、Facebookがデータを研究者に公開しない姿勢のため、選挙介入や誤情報作戦、そしてそのメカニズムの全容の解明の障害となっている。

大学や研究機関の中立的な研究者は長期に渡り同社に対してデータ開示を求めてきたが、最近では、Facebookが誤ったデータを提供し、研究者側から指摘を受け、謝罪する出来事が起きている。研究者の中には、このミスが研究を妨害するために意図的に行われたものなのか、それとも単なる過失なのかを疑問視する人もいる。

ケンブリッジ・アナリティカ事件以降、このような綱引きが続けられており、Facebookは基本的には自社にとって不利な情報を外部に出す意思は持っていないとみることもできるだろう。

ケンブリッジ・アナリティカが試みた群衆操作の全容
ケンブリッジ・アナリティカはFacebookから取得した個人情報、感情の性質などの情報を活用し、2016年のアメリカ合衆国大統領選挙と英国のEU離脱をめぐる国民投票における「説得可能な投票者」(Persuadable)の抽出に成功した。「群衆を操れる」という同社の主張には多くの疑問が残る。

ホーゲンは、Facebookについて懸念を表明した最初の元従業員ではない。しかし、彼女には強力な2つの特徴がある。1つは、彼女が実際に誤情報やヘイトの拡散を取り締まる部署での業務を務めていたこと。それから、Facebookが自社製品について何を知っていたのかを明らかにした数千ページに及ぶ企業文書を携えていたことだ。

ホーゲンは何千ページもの機密文書をコピーして議員や規制当局、ウォール・ストリート・ジャーナル紙に提供した。同紙は「Facebook Files」と呼ばれる一連のレポートを発表し、同社の規則がいかに政治エリートを優遇しているか、アルゴリズムがいかに不和を助長しているか、麻薬カルテルや人身売買業者がいかに公然と同社のサービスを利用しているかが示された。

「Facebookは売上を優先し誤情報とヘイト拡散を見逃した」と内部告発
Facebookの元従業員は、同社がプラットフォーム上でのヘイト、暴力、誤情報を抑制するより広告収益を優先してきた経緯を暴露。その証拠として「何万ページもの」文書を提示した。同社はケンブリッジ・アナリティカのスキャンダル以来、最も深刻な危機に陥っている。

超党派立法は成立するか?

議会は、大規模なテクノロジー企業に対する法整備を強化するために、さまざまな法律を検討している。その中には、連邦政府によるプライバシー保護、ソーシャルメディア企業が享受している法的免責の制限、米国の競争政策執行機関がこれらの企業に対して行動を起こす際の手立てを強化するいくつかの法案が含まれている。

上院の消費者保護小委員会の民主党委員長であるリチャード・ブルメンタールは、公聴会の後、記者団に対し次のように述べた。「今日は、超党派の支持を得られたことは、実際に(新しい法案を)成立させる上で良い結果をもたらすだろう」。ブルメンタールと民主党の上院議員エド・マーキーは、ソーシャルメディア企業が16歳未満の子どもにコンテンツを提供する方法を見直す法案を再提案した。ユーザー生成コンテンツ(UGC)についてプラットフォームが責任を持たないことを規定する法律の条項の改正も俎上に載せられた。

ビッグテック企業は法律制定プロセスに影響力を持つロビイストへの最大の支出者であり、大手テック企業の資金力がこの超党派立法のモメンタムにどのように影響を与えていくかが注目される。

一部の議員は、テック企業を規制しようとする試みが、すでに一部の大手企業から激しい反対を受けていることを認めた。エイミー・クロブチャー議員は「この建物の隅々には、テック産業に雇われたロビイストがいる。Facebookをはじめとする大手テック企業は、この街に大金を投じており、人々は彼らの声に耳を傾けている」と公聴会で語った。

上院の共和党と民主党の議席数は50対50で拮抗しており、これも超党派での立法を不成立としかねない。

公聴会後の声明で、Facebookはホーゲンが開示した文書で提起された問題についての見解を疑問視し、ホーゲンは上級幹部による意思決定プロセスに関与しない下級社員であると主張した。同社は「インターネットの標準的なルールを作る時期に来ているという点で、我々は一つのことに同意している。立法府が社会的決定を業界に期待するのではなく、議会が行動を起こすべき時だ」と書いている。

SEC、検事総長、欧州の規制当局と協力へ

ホーゲンは、米国証券取引委員会(SEC)に内部告発を行い、投資家保護法違反の可能性について規制当局に情報を提供し、今後の強制措置で徴収される罰金の一部を受け取る資格を得た。また、州の検事総長や欧州の規制当局とも協力していきたいと考えているという。