テスラが半導体不足の影響を最小化した方法

テスラが半導体不足の影響を最小化した方法
"Tesla Autobots"by jurvetson is licensed under CC BY 2.0

要点

テスラのハードウェアとソフトウェア企業の双方を兼ねる業態が、トヨタでさえ打撃を受けた半導体不足に対して、力強いアジリティを発揮した。プレミアム帯に集中した市場戦略や垂直統合型のアプローチも奏功した。


テスラは10月初旬、2021年第3四半期の納入台数を発表し、前四半期比20%増、前年同期比では約73%増となる記録的な24万1,300台を納入したことを明らかにした。

この数字は、自動車業界全体に影響を及ぼしているサプライチェーンの問題を、テスラが克服できていることを示している。

例えば、自動車業界で最も整備されたサプライチェーンを持つトヨタ自動車でさえ、世界的な半導体不足のため、9月に全世界の自動車生産台数を40%削減しなければならなかった。

懐疑的な人は、テスラが数字を偽っていると主張し続けている。世界的なチップ不足に加えて、世界的なパンデミックの影響が続くと思われることは言うまでもなく、他の多くのサプライチェーンの問題がある中で、これほど多くの車を生産したり、配送したりすることができるはずがない、と。

このような状況下で、テスラはどのようにして影響を最小化したのだろうか。その理由は、大きく分けて3つあるだろう。

まず、テスラはよりプレミアム帯に注力しており、2021年第2四半期の自動車部門の粗利益率は、規制によるクレジット販売を除いて26%近くに達している。一方、他社の自動車およびトラック部門の粗利益率は10%以下となっている。これは、半導体メーカーがより価値の高い製品を優先する可能性があるため、同社が供給を確保するのに有利な立場にあることを示している。家電業界でも同じようなことが起こっており、利益率の高いAppleは、業界全体に比べてチップの供給をより適切に管理している。

現在、自動車分野でチップが不足しているのは、半導体工場の生産能力が、自動車メーカーが使用している試行錯誤のレガシーチップ(多くの場合、40ナノメートルプロセスノード以上)から、より高度なプロセス技術を用いた最新のチップセットに移行していることが主な原因だ。テスラでは、最新のアーキテクチャを採用していることが、現状への迅速な対応につながっている可能性がある。

第2四半期の株主向けスライドによると、テスラは一連の新しい自社設計チップを使用することで、生産停止を抑制するために取り組んでいたという。

「当社のチームは、半導体の不足による製造の混乱に迅速に対応し、それを緩和するために比類ない能力を発揮してきた。当社のエレクトロニクスおよびファームウェア・エンジニアリング・チームは、半導体不足に対応するため、19種類の新しいコントローラの設計、開発、検証に全力で取り組んでいる」と文書は説明している。

また、テスラのソフトウェアエンジニアリング能力も役立っている。2021年第2四半期、テスラは代替チップを調達し、そのためのソフトウェアを数週間で書き直し、自社の車両に組み込むことができたと述べている。これはおそらく、大衆向けの自動車メーカーではそう簡単にはできないことだろう。

また、今期の販売台数には、テスラの中国事業が大きく貢献していると考えられる。中国ではEVの販売が好調で、チップの確保にも苦労していないようだ。例えば、中国のプレミアムEVプレーヤーであるNioとLi Autoは、2021年第3四半期にそれぞれ前年同期比100%と190%の成長を記録した。テスラは現在、中国で大きな存在感を示しており、上海の施設は現在の総生産能力の40%以上を占めている。このことが、同社を後押ししたのだろう。

モルスタのアナリストのメモ

モルガン・スタンレーの主席アナリストであるアダム・ジョナスによる投資家への手紙もまた、これに回答している。

”How Did Tesla Find Chips? "と題したメモは、部品不足の状況を「垂直統合」「洗練」「交渉」「規模」などのカテゴリーに分けて説明した。

テスラは何年も前から垂直統合を行っており、自動車メーカーというよりもソフトウェア会社と言っても過言ではない。テスラは、サプライヤーや他社への依存度が低ければ低いほど、開発や生産のプロセスをコントロールすることができる。

ジョナスは、テスラが車載半導体の自社設計を行うことで、多くの自動車メーカーが共有するありふれたチップや部品を使った自動車よりも、はるかに高度な自動車を生産することができると指摘している。

さらに、サプライヤーとの交渉においても、テスラの社内ノウハウは有利に働いていると指摘する。サプライヤーは、テスラが必要とするものを必要なときに提供できなければ、テスラが自社で生産すればよいと考えることを知っている。業界が変化していく中で、サプライヤーはテスラを顧客として失いたくはないだろうから、テスラの要求を満たすために努力しなければならなかった。

最後に、ジョナスはスケールについて書いている。テスラは競合他社に比べて規模は小さいが、指数関数的に成長している。記録的な四半期は、わずか2つの工場に依存していた。その一方で、ごく近い将来、さらに2つの工場がオープンする予定だ。ジョナスによると、多くのサプライヤーはテスラが「戦略的顧客」であることを認識しており、その関係をポジティブに保つことが賢明だという。

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