アラブ世界はこの戦争について多種多様な考えを胸に秘める[英エコノミスト]
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救急車、遺体、夜空を照らす爆発。ハマス側は、10月17日にガザのアル・アハリ病院で起きた爆発をイスラエル側の責任だと非難した。ガザ保健省は、数百人が死亡したと発表した。イスラエルはその後、同地域での空爆を否定した。爆発は、ガザの別の過激派組織である「イスラム聖戦」が発射したロケットの誤射によるものだという。イスラエルが否定を発表する頃には、詳細はどうでもよくなっていた。この大惨事は、ヨルダン川西岸地区やヨルダン、遠くはチュニジアでも抗議行動を引き起こした。ジョー・バイデン大統領が10月18日にイスラエルを急遽訪問した際、その渦中に飛び込んだのである。
「アラブ世界」を一般化するのは難しい。アラブ世界には4億5千万人の人々がおり、数千キロメートル、20カ国近くに広がっている。しかし、ほとんどのアラブ人はパレスチナの大義に共感していると言っていいだろう。パレスチナの土地を奪われた人々の怒りと抗議は、中東全域で依然として政治的課題となっている。
イスラエルとハマスの戦争は、12日目を迎えている。テレビでは24時間体制で報道され、ソーシャルメディアでは延々と議論され、パレスチナ人への支援の嵐が吹き荒れている。それでも、2014年のガザにおける50日間戦争のような過去の紛争と比較すると、いくつかのことが違って見える。
ひとつは地政学的な問題だ。2020年以降、バーレーン、モロッコ、スーダン、アラブ首長国連邦(UAE)のアラブ4カ国がイスラエルと関係を結んだ。サウジアラビアも同様である。そのため、一部のアラブメディアの紛争報道の仕方も変わってきている。