Q2決算でクラウド3強の高成長が継続中であることが示された

2022年第2四半期のクラウドプロバイダー3強の決算は、2021年から続く追い風が吹き止んでいないことを印象づけた。彼らはどこまで大きくなっていくのだろうか?

Q2決算でクラウド3強の高成長が継続中であることが示された
GCPのデータセンターの様子。出典:Google Cloud Platform

2022年第2四半期のクラウドプロバイダー3強の決算は、2021年から続く追い風が吹き止んでいないことを印象づけた。彼らはどこまで大きくなっていくのだろうか?

2021年、ハイパースケーラ(AWS、Azure、GCPなどの大手クラウドサービスプロバイダー)各社はいずれも年率換算で加速度的に、あるいは持続的に高い収益成長を遂げた。AWSの場合、年間600億ドルを超える膨大なランレート(直近の実績値の傾向がそのまま続くと仮定した場合の将来予測値)で、前年比40%近い成長率を示している。

AzureとGCPについては、規模は小さいものの、成長率はさらに高く、40%台半ばから後半を堅持している。もちろん、2020年の減速から一気に復活したことが、前年比の好成績を促進した面もある。いずれにせよ、この成長率は非常に印象的であり、大規模なクラウド投資の耐久性を反映している。

2022年の第1四半期は、このトレンドがまだほぼ軌道に乗っていることを実証した。コロナの流行後、企業は皆、クラウド投資が大きく前進したものの、クラウドへの移行はまだ中盤にさしかかったところだろう。しかし、インフラをクラウドに移行し終えても、多くの企業はビジネス・プロセスの自動化や顧客との新しいチャネルの開設、サプライヤーやパートナー、業界関係者とのB2Bインタラクションの改善など、新しいプロジェクトを開始したばかりだ。したがって、伸びしろは十分にある。

2022年第1四半期のハイパースケーラの結果は、2021年から持続的な支出が続いていることを示唆している。AWSの年間成長率は36.6%に落ち込み、2年ぶりの高水準である39.5%から低下したが、その前の3四半期とほぼ同じで、2021年第1四半期の32%成長を上回っている。Azureは実際に加速し、恒常為替レートベースで49%の成長率となり、2021年の全期間を上回った。GCPは43.8%とわずかに低下し、前2四半期の年率換算値より1%ほど低くなった。

AWSはデータセンターを拡充する計画を明らかにしている。Amazonの最高財務責任者(CFO)であるブライアン・オルサフスキーは、2022年第2四半期決算の電話会議で、AWSは26地域に84のアベイラビリティゾーン(地域に立地するデータセンター群)を持ち、さらに8地域、24アベイラビリティゾーンの追加を予定している、と話している。これは地域が31%、アベイラビリティゾーンが29%増加することになるのだ。

AWSの設立以来、約1,200億ドルを費やしたことが大きなリターンとなり現在の高成長を支えている。第2四半期には、Amazonの親会社が行った167億7000万ドルの設備投資のうち約40%(約67億1,000万ドル)がAWSに当てられたが、オルサフスキーは電話会議で、2022年にはこの割合が50%に上昇するだろうと述べた。つまり、2022年後半は平均して資本支出の60%程度がAWSに振り分けられる計算だ(Amazonの現在のボスは長年AWSを率いてきたアンディ・ジャシーである)

このような背景から、第1四半期には人気の高いソフトウェアインフラストラクチャプロバイダーも好調な業績を支えたようで、ハイパースケーラの成長と独立系プロバイダーの間におおよそ信頼できる相関関係がありそうなことが示されてもいる。Datadogの収益は前年同期比83%、MongoDBは57%、Crowdstrikeは61%、Zscalerは63%、Cloudflareは54%の成長を遂げた。

ハイパースケーラー各社の収益の伸びは鈍化しているが、需要はまだ続いているように見える。これまでのところ、この減速は、クラウド移行やデジタルトランスフォーメーション(DX)投資からの全体的なシフトではなく、マクロ圧力から予想される影響と一致しているように見える。世界経済が不況に陥ることに一定のコンセンサスがあるが、それがどのくらい続くのかについては多様な味方があり、予測し難い。

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