Google、内部調査を受けて2人目のAI倫理研究者を解雇

Googleは、倫理的AIチームの共同リーダーであるマーガレット・ミッチェルを解雇したが、同僚のティムニット・ゲブルに対する差別の証拠を見つけるために、自動スクリプトを使ってメールを調べたことが原因だという。

Google、内部調査を受けて2人目のAI倫理研究者を解雇

Googleは、倫理的AIチームの共同リーダーであるマーガレット・ミッチェルを解雇したが、同僚のティムニット・ゲブルに対する差別の証拠を見つけるために、自動スクリプトを使ってメールを調べたことが原因だという。このニュースはAxiosが最初に報じた

ミッチェルの解雇は、Googleが倫理と公平性に取り組むAIチームへの再編を発表した1日後のことだ。ブログ記事によると、エンジニアリング組織で副社長を務めていたマリアン・クロークは現在、「Googleリサーチ内の責任あるAIに関する新しい専門知識センター」を率いることになったという。

今回の異動は、数ヶ月間混乱が続いていた部署の安定化を図るための試みだと、ブルームバーグが報じている。12月には、倫理的AIチームの共同リーダーであるティムニット・ゲブル氏が突然の解雇を発表した。翌月、同社は彼女のカウンターパートであるマーガレット・ミッチェルの調査を開始したが、彼女はスクリプトを使ってゲブルに対する差別の例を探すために彼女の電子メールを通過させていた。ミッチェルは現在、5週間以上にわたって企業アカウントから締め出されたという。

解雇される前、ゲブルーは大規模な言語処理モデルの危険性についての論文を発表しようとしていた。Google Researchのバイスプレジデントであるミーガン・カチョリアは、彼女に論文の撤回を求めた。Gebruは、会社は出版プロセスについてもっと透明性を高める必要があると言って、押し返した。その後まもなく、彼女は解雇された。

倫理的AIチームは、ゲブルの解雇を受けて6ページに及ぶレターを発表し、カチョリアの交代を呼びかけた。「我々はミーガン・カチョリアへの信頼を失い、彼女を報告の連鎖から外すことを要求する」と書かれている。ブルームバーグによると、再編の一環として、カチョリアはもはや倫理的なAI研究者を率いることはないという。

GoogleのAI倫理研究者解雇は「不都合な真実」を隠蔽するためか
GoogleがAI倫理学者Timnit Gebruを解雇したとされる係争で、Gebruらが執筆した大規模言語モデルのリスクを指摘する論文がその発端となったと彼女は主張している。論文はモデルが適用されているGoogleの検索やクラウド製品、また、Transformer、BERT等のAI研究チームの主要な業績に疑問を投げかけるものであり、Googleがビジネス上の利益を倫理に対して優先したかという疑問に回答しないといけない。
Google AI倫理チームの共同リーダー、AIのバイアスを強調する論文を投稿したため解雇されたと主張
有名なAI倫理研究者の一人であり、GoogleのAI倫理チームの共同リーダーでもあるティムニット・ゲブル(Timnit Gebru)は、GoogleのAIのバイアスを強調する論文を執筆したせいで解雇されたと主張した。Google AI側は辞意を受理したと反論しており、双方の主張が食い違っている。

Photo by Kai Wenzel on Unsplash

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