暗号資産の堕ちたスターたちの末路
暗号資産業界の悪役、詐欺師、落ちぶれたスターに対する法的取り締まりが強化されている。一瞬で脚光を浴び、大金持ちになった彼らは、これから法的プロセスにとても長い時間を費やすだろう。
暗号資産業界の悪役、詐欺師、落ちぶれたスターに対する法的取り締まりが強化されている。一瞬で脚光を浴び、大金持ちになった彼らは、これから法的プロセスにとても長い時間を費やすだろう。
米証券取引委員会(SEC)は16日、シンガポールに拠点を置くTerraform Labsとその創設者ド・クォン(逃亡中)を、アルゴリズミック・ステーブルコイン「TerraUSD」とその他の暗号資産証券を含む数十億ドル相当の暗号資産証券詐欺を指揮した罪で起訴した。
クォンはトークンの価値が上昇すると繰り返し主張し 、20%もの金利を支払うと宣伝していた。Terraformとクォンは、韓国の人気モバイル決済アプリケーションがTerraブロックチェーンを使用して取引を決済し、姉妹トークンであるLunaに価値が発生すると繰り返し誤解させ、投資家を欺いた、とSECは訴状の中で主張している。
ステーブルコインの価値は、精巧な数式によって他の暗号資産と結びついているはずだった。しかし、それが「単なる詐欺」であることが判明したとSECは述べ、クォンが意図的に投資家を欺いたと非難している。
ステーキングも照準
暗号資産取引所Krakenは、投資家がコインを「ステーキング(張る)」ことで報酬を得ることができるサービスを提供し、同委員会の規則に違反したという疑惑を解決するため、SECに対し3,000万ドルを支払うことに同意した。
ステーキングはイーサリアムのような多くのブロックチェーンの中心的な機能であり、コイン保有者がマイニング(採掘)のような高コストの手段によらず、コイン保持の報酬を得ることを保証している。つまり、イーサリアムのような合意アルゴリズムの変更が行われたブロックチェーンにおいては、元々採掘者だった大口保有者が、労せずしてコインを増やすことを許容する仕組みとなっている。
Krakenをはじめとするプロバイダーは、ユーザーがステーキングに必要なコンピュータを購入・維持することなくコインをステーキングできる「ステーキング・アズ・ア・サービス」を提供していた。
SECは、米国内の暗号資産事業者を、あらゆる種類の有価証券の販売を管理するのと同じ規制の枠組みの下に置くこと、つまり、トークンを株式や債券のように扱うことを推進している。ステーキングもこの枠組の対象となった。
一方、検察から「米史上最大の金融詐欺」と避難されたサム・バンクマンフリードは、現在、カリフォルニア州の実家で軟禁され、詐欺と陰謀の罪で裁判を待っている。検察は、バンクマンフリードが仮想プライベートネットワーク(VPN)と暗号化されたメッセージングアプリを使い、検察の監視を逃れていると主張した。弁護士は「スポーツを見るため」と反論。裁判官は、検察と弁護士の双方にバンクマンフリードの保釈をめぐる新しいルールを提案するよう命じた。
業界の「最後の大物」と言われる暗号資産取引所バイナンスにも新たな監視の目が向けられている。先週初め、ニューヨーク金融サービス局(NYDFS)は、暗号資産企業Paxos Trust Companyに対し、バイナンスブランドで提供されている同社のドルペッグステーブルコイン「BUSD」の発行を停止するよう命じた。ロイターによると、Paxos Trust Companyのチャールズ・カスカリラCEOは2月18日に同社の従業員にメールを送り、同社がSECと「建設的な議論」を行っていることを知らせたという。
SECの次のターゲットは、同様のステーキングサービスを提供しているコインベースではないかとの噂がある。コインベースは21日に発表した2022年の年次報告書で、規制当局がプラットフォーム上の暗号通貨を証券と判断した場合、法廷闘争を選択する可能性があると示唆した。