電池と核融合炉、リニアモーターカーの画期的な材料となる超伝導体が発見される
米国の科学者は、他の超伝導材料よりも室温と低圧で機能する「レッドマター(Reddmatter)」と呼ばれる超伝導体を作成した。この画期的な技術により、より安価で高効率な電池、核融合炉用磁石、高速鉄道の改良、より効率的な電力網の実現が期待される。
米国の科学者は、他の超伝導材料よりも室温と低圧で機能する「レッドマター(Reddmatter)」と呼ばれる超伝導体を作成した。この画期的な技術により、より安価で高効率な電池、核融合炉用磁石、リニアモーターカーの改良、より効率的な電力網の実現が期待される。
8日にNatureにパブリッシュされた論文によると、水素、窒素、ルテチウムを含むこの新素材は、華氏69度、10キロバールの圧力で超伝導を示し、医療用画像診断に革命をもたらし、超伝導レールの上で列車を浮遊させ、電気の貯蔵と伝送の方法を変える可能性がある。
窒素や炭素と組み合わせた化合物は、近年、超伝導材料の作成に使用されているが、実用に十分な低温・高圧で超伝導を示す化合物は今回が初めてである。水素99%、窒素1%の混合ガスをルテチウムと反応させ、ルテチウム―窒素―水素の化合物を作成した。
圧縮すると、化合物は青色からピンク色に変化し、さらに明るい赤色の状態になった(下図)。作成された超電導体は、1平方インチあたり3,900万ポンド(約1万7,690トン)の圧力に耐えることができた。超伝導を引き起こすのに必要な圧力は、これまでの低圧の成果よりも2桁近く低いという。
これは、エンジニアが商業的に実現可能な製品を作ることができる可能性を示唆している。超伝導部品を搭載したデバイスは、携帯電話、ノートパソコン、電気自動車のバッテリーなどに組み込まれ、より効率的でバッテリー寿命が長くなる可能性がある。
また、常温超伝導体は、太陽エネルギーや風力エネルギーを長期間保存できる可能性があり、より効率的なエネルギー使用と二酸化炭素排出量の削減につながる。また、クリーンなエネルギー源として長い間注目されてきた核融合装置の開発にも貢献する可能性がある。
あるいは、超伝導体によって、高価で希少な液体ヘリウムを冷却に必要としない、より小型で携帯性に優れたMRIを実現することができるかもしれない。
論文を出版したロチェスター大学物理学・天文学科のRanga P. Dias博士のグループは、他の科学者にの指摘により、先に発表したNature誌の論文を撤回し、自分たちの研究を証明する新しいデータを加えて再投稿した。