数兆ドルの負債返済に直面する米企業:長期化する金利上昇のペナルティ[英エコノミスト]
![数兆ドルの負債返済に直面する米企業:長期化する金利上昇のペナルティ[英エコノミスト]](/content/images/size/w1200/2023/10/alexander-mils-xISlt5k2sfs-unsplash.jpg)
米国の大企業は借金の夢の国に住んでいる。何十年もの間、安価な借り入れが企業収益の伸びを後押ししてきたが、大企業は連邦準備制度理事会(FRB)による最近の金融引き締めの影響からほとんど免れてきた。というのも、その多くがコロナの大流行時に低金利の固定金利で大量に借り入れたからだ。そのツケはいずれ、はるかに高い金利で借金を借り換えることで清算しなければならない。しかし今のところ、いわゆる満期の壁と呼ばれる借金の返済期限は延びそうだ。
しかし、すべての企業がFRBの行動の影響を免れているわけではない。実際、何兆ドルもの変動利付債があり、その利払いは市場に連動して調整されるため、突然割高になっている。この債務の山は、レバレッジを効かせた融資と民間債務市場からの借り入れで構成されている。企業は金利リスクをヘッジすることはめったになく、レバレッジド・ローン(編注:バンクローンの中でも投資適格未満の企業に対するローン)のある指標の満期までの利回りは10%近くまで跳ね上がった(図表1参照)。その一方で、米国の経済成長は依然として底堅いため、FRBの政策担当者は金利はより長く高止まりせざるを得ないと警告している。これは、より多くの借り手を限界点まで追い込むだろう。巨大化した市場は今、2つの悲惨な質問を投げかけている。事態はどこまで悪化するのか? そして、いったい誰が損をするのか?