日本
アームIPOはSBGを救わず:来年の金融緩和終了が激痛か
アームのIPO成功にもかかわらず、ソフトバンクグループ(SBG)の負債比率は過去最悪の水準まで悪化した。来年日銀が異次元の金融緩和を終えるとき、レバレッジを愛する同社は、未曾有のストレステストにさらされるだろう。
特に政府や大企業による巨額の資金の管理
日本
アームのIPO成功にもかかわらず、ソフトバンクグループ(SBG)の負債比率は過去最悪の水準まで悪化した。来年日銀が異次元の金融緩和を終えるとき、レバレッジを愛する同社は、未曾有のストレステストにさらされるだろう。
マーケット
欧州は何年も前から屠殺場へと向かっており、1914年までには紛争は避けられない状況になっていた。しかし、歴史学者であるナイアール・ファーガソンが2008年に発表した論文で指摘しているように、当時は投資家にとってそのようには感じられなかった。彼らにとって、第一次世界大戦は衝撃だった。勃発の前週まで、債券市場、為替市場、マネーマーケットの価格はほとんど動かなかった。それが大混乱に陥った。1914年8月1日付の本紙は、「シティは戦争の意味を一瞬にして理解した」と書いている。 金融市場は再び、世界的な紛争のリスクを過小評価しているのだろうか? 悪夢のシナリオでは、第3次世界大戦への突入は、ロシア軍がウクライナ国境に集結した2年前に始まった。今日、イスラエルのハマスとの戦いは、国境を越えて波及する恐ろしい可能性を秘めている。米国の軍事支援は、ウクライナとイスラエルの両方にとって極めて重要である。イラクとシリアでは、超大国の基地が、おそらくイランの代理人からの攻撃を受けている。中国が気を取られた大国に乗じて台湾を侵略する時が来たと判断すれば、米国はいとも簡単に3つの戦争に巻き込まれ
金融
米国の大企業は借金の夢の国に住んでいる。何十年もの間、安価な借り入れが企業収益の伸びを後押ししてきたが、大企業は連邦準備制度理事会(FRB)による最近の金融引き締めの影響からほとんど免れてきた。というのも、その多くがコロナの大流行時に低金利の固定金利で大量に借り入れたからだ。そのツケはいずれ、はるかに高い金利で借金を借り換えることで清算しなければならない。しかし今のところ、いわゆる満期の壁と呼ばれる借金の返済期限は延びそうだ。 しかし、すべての企業がFRBの行動の影響を免れているわけではない。実際、何兆ドルもの変動利付債があり、その利払いは市場に連動して調整されるため、突然割高になっている。この債務の山は、レバレッジを効かせた融資と民間債務市場からの借り入れで構成されている。企業は金利リスクをヘッジすることはめったになく、レバレッジド・ローン(編注:バンクローンの中でも投資適格未満の企業に対するローン)のある指標の満期までの利回りは10%近くまで跳ね上がった(図表1参照)。その一方で、米国の経済成長は依然として底堅いため、FRBの政策担当者は金利はより長く高止まりせざるを得ないと警告
マクロ経済
40年にわたるトレンドの終焉を告げるのは勇敢な投資家だ。しかし、国債利回りはここ数週間で急速に上昇し、多くの市場関係者が低金利時代は終わったと考えている。8月上旬以降、米国の10年物国債利回りは4%を超える水準で取引されており、これは2008年から2021年まで見られなかった水準である。10月3日には16年ぶりの高水準となる4.8%を記録し、2週間で半ポイント上昇した。この動きはグローバルに波及している。欧州では債務国イタリアの財政危機を招く恐れがあり、日本は底金利にしがみついている(図表1参照)。 何が起こっているのか? 米国の金融メカニズムから始めよう。国債を保有する投資家は通常、連邦準備制度理事会(FRB)によってオーバーナイト金利が設定される金融市場で融資を受けるという選択肢を持っている。したがって、満期の短い国債の利回りはFRBの政策に連動する。満期の長い国債の利回りは、さらに2つの要因を反映している。ひとつは、FRBが将来どのように金利を変更するかという期待である。もうひとつは「タームプレミアム」であり、金利やインフレ率の予想が外れる、あるいは理論的には政府がデフォ
マーケット
テック業界のボスたちは、長い間、新規株式公開(IPO)を破壊しようとしてきた。彼らは、スプレッドシートに精通した投資銀行家が自分たちのビジョンを売り込むために徴収する高額な手数料や、新しい投資家に株式を分配する錬金術のようなプロセス、そして取引所で取引が開始されたとたんに株価が高騰し、それに見合わない資金を渡されることを考えると、歯がゆい思いをしてきた。 このプロセスを改善するために多くの計画が練られてきたが、その成功の度合いはさまざまだ。2004年の上場時、グーグルは不注意にも自社株の「ダッチオークション」に挑戦した。このオークションは最高入札価格から始まり、株式の供給と投資家の需要が一致する価格まで入札額が上がるのではなく、徐々に下がっていくものだった。 通常のIPOプロセスの形式に対する侮辱として、検索大手の創業者へのインタビューが、あのプレイボーイ誌に、IPOの準備段階の「沈黙期間」に掲載された。 9月19日、インスタカートはニューヨークのナスダックに上場した。この食料品配達会社は、2年近くIPO活動が停滞していた後に鐘を鳴らした最新の企業の一つである。インスタ
スタートアップ
米株式市場では、大型上場が3つ続き、IPO復活の機運が高まるが、実際の需要は小さいままだ。それでも、ユニコーンたちはこの出口に長蛇の列を作り始めている。
金融
高齢化と公定歩合の上昇は、イノベーションに悪影響を与えているかもしれない。世界一の高齢化にさらされ、長期に渡った低金利時代からの決別が示唆される日本は、技術革新の砂漠と化すのだろうか。
金融
みずほが投資銀行化の野心を実現しつつある。アームのIPOでは主幹事の座に米大手と肩を並べている。ただ、ソフトバンクへの深い依存によって得られた地位で、両刃の剣かもしれない。
マーケット
ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義氏は、近く上場する英半導体設計のアームを「AI銘柄」に仕立て上げ、割高な時価総額を得ようとしている。昨今のAIブームの受益者ではないアームの価格は、インテルと同じ物差しに当てると、2.5兆円まで萎む。SBGの想定の3分の1だ。
金融
MUFGとみずほが日本企業向けのクロスボーダー決済で、米国のシステムをトンネルする仮想通貨を使った手段を提案する模様だ。中国中銀やUAEらの先行例を市中銀行が追走し、米ドル覇権の要衝であるSWIFTを迂回する試みである。
マーケット
英半導体設計企業 Arm上場は、ソフトバンクグループ(SBG)の生死を賭けたものとなっている。孫正義氏が思い描く株価が得られた時、SBGは力に満ち溢れる。そうでなければ、死線をさまようことになるだろう。 有料購読2ヶ月無料に申し込む SBGは、ArmのIPOをナスダックに上場申請した。Appleやサムスン、NVIDIA、Intelなど世界の主要な半導体関連企業がArm上場と同時期に出資する方針だ、と日本経済新聞は22日に報じた。本稿執筆時の22日時点で、内外の報道機関は日経を支持する報道をしていない。 上場の前に劇的な取引があった。SBGは世界で最も物議を醸したベンチャーキャピタル(VC)であるソフトバンク・ビジョン・ファンド1(SVF1)に、2016年に買収したArmの株式25%を現物出資した(*1)。先週、SBGはこのArm株25%を、企業価値640億ドルに基づいて、160億ドルで買ったとウォール・ストリート・ジャーナルは報じた。SVF1の優先株主であるサウジらの配当を早めることができるが、私の独自算定では、負債比率の一種である「Loan to value(LTV)」が最大6
日本
ソフトバンクグループ(SBG)がビジョンファンドのArm株を買い上げて、世界中で投資攻勢を進めるサウジへ利益供与すると取り沙汰された。新ファンド組成の布石になるかもしれないが、SBGは生命線のキャッシュを失う。孫正義氏好みのリスキーな戦略のように見える。