世界広告市場の半分をビッグテック3社が支配

吉田拓史

要点

アルファベット、メタ、アマゾンは世界のデジタル広告全体の9割を分け合い、広告収益全体の50%近くを占めるようになった。デジタルから広告全体へとビッグテック寡占は深まることになった。


広告最大手WPPのGroupMが13日に発表した報告書によると、2021年の世界の広告は37.5%増(米国の政治広告を除く)で、最終四半期に強い上昇を見せた。世界の広告業界全体(米国の政治広告を除く)の2021年の収益は7630億ドルに達し、前年比で急増、また2019年から18.7%増加するとされている。

デジタルは世界の広告の64%を占めた。世界最大の広告市場では、デジタル広告の割合は60%(米国)、78%(英国)、87%(中国)に達している。

GroupMは、主に米国、英国、中国の成長に牽引され、広告収益予測を従来の予想よりも大幅に上方修正した。報告書は「世界中のほとんどの市場が、広告市場の成長速度を考慮し、2021年と2022年の予測を引き上げている」と書いている。

世界の広告収益全体に占めるデジタル広告の割合は、2019年の52.1%から、2020年の60.5%、 2021年には64.4%になると予想される。GroupMのビジネスインテリジェンス担当グローバルプレジデントであるブライアン・ウィーザーは、彼が追跡しているメディア(テレビ、デジタルプラットフォーム、OOH、オーディオ、映画、プリント(新聞・雑誌))への広告費総額は、現在の7660億ドルから2025年までに1兆ドルを超えると予測している。

中国以外では、アルファベット、メタ、アマゾンが世界最大の広告販売者となり、世界のデジタル全体の80~90%、広告収益全般の50%近くを占めることになる、とGroupMは推測している。

アルファベット、メタ、アマゾンは、過去5年間で広告収益のシェアを倍増させている。ビッグテックに対する規制当局の監視が強化される中で、デジタルは2020年に他の広告チャンネルの縮小に逆らい、今年さらに30.5%急増し、他のカテゴリーを凌駕する4910億ドルになると予想されている。

GroupMのウィーザーは、フィナンシャル・タイムズに対し、この3社が中国以外の世界の広告市場全体の半分以上を支配していることになると推定しているが、特定の企業の市場シェアデータは、開示が限られていることもあり、推定値に過ぎないと注意を呼びかけている。

ノンデジタルが軒並み衰退

GroupMの報告書は、新聞と雑誌の構造的な衰退が、パンデミックの間にいかに加速されたかを示している。今年のこの2つのカテゴリーの世界広告収益は2019年と比較して27%減少する勢いだ。新聞のシェアは2014年の約15%に対し、4%強となっている。

テレビは、パンデミックの間、最も好調な伝統的なメディアである。このカテゴリーの広告収益は、2019年の水準にはまだ及ばないものの、2020年からほぼ12%回復し、1610億ドルに達する見込み。報告書は2022年のテレビ広告の総額は1,710億ドルに達すると予想している。そのうち約170億ドルはコネクテッドTV(CTV)向けだ。

世界の広告収益の64%がデジタルメディア、21%がテレビに流れていることが分かったが、事業計画は規模によって大きく異なる。小規模なブランドはデジタルに全力を尽くし、大規模なブランドはテレビへの支出を増やす傾向がある。

「サードパーティCookieの死やAppleのATTなど、プライバシーを中心とした変化により、デジタル広告への支出が減少することを懸念する声もあったが、それを裏付けるようなデータはなかった」と報告書は記述している。

オンライン広告の躍進とは対照的に、オフライン広告のすべての主要なタイプに対する支出は、今年、2019年よりも減少するとされている。

長期的には、歴史的にこの媒体を支配してきた最大の広告主が、今後も徐々に支出を他に移していく可能性が高いだろう。